メディテーションとは

今、生きる秘訣―横尾忠則対話集 (知恵の森文庫)

 岡本太郎さんの言葉、印象的です。

 

P12

岡本 メディテーションというと普通は、静かに想念を深めること、たとえばお釈迦様が菩提樹の下に座って瞑想するような、ああいうのを考えるだろう。だけどぼくのは逆だね。もっと、爆発する、命を無条件におし開いていくことが、ぼくにとってメディテーションなんだ。無条件にね。・・・全体的に、あらゆる枠を超えて生きることが、ぼくにとってはメディテーションだね。

 今、人間でむなしいことは、みんな商売人になってることだね。・・・絵描きも商売だ。好かれる絵を描かなきゃ絵描きになれない。好かれないと絵が売れない。評判がよくないと消されちゃう。そうすると別な商売を探さなきゃいけない。あらゆる面でそうだね。そんなとこに本当の意味のメディテーションというのはないわけだ。・・・もっとはっきりいえば、無償、無条件な状況に自分を置くことがメディテーションなんだ。こうすると成功するとか、こうするとだめだとか、こういうことをやって少し有名になりたいとか、評判をとりたいなんていうのはメディテーションじゃない。まったく無条件で、ぱあっと放射して、むしろ成功しないほうが面白いと思う。・・・生きる情熱、これがぼくはメディテーションだと思うね。無条件だし、計算ずくじゃないわけだから。

 

P24

岡本 ぼくは宗教っていう言葉が嫌いなんだ。宗教っていう言葉ができたのはずっと後のことで、宗教が生活そのものだった。・・・みんなが誤解してることは、自分の存在だとか、人間の存在を超えたものが宗教である、信仰であると思う。けれども、自分を乗り越えたものは実は自分自身なんだ。・・・自分の中心ってことは宇宙の中心である。・・・だって自分以外に何もないじゃないか。宇宙もないんだから。自分、即、宇宙だから。