樹木希林さん

一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書)

樹木希林さんの本、どこを読んでも、あのユニークな存在感が伝わってきました。

ここに書いてあった「自分を使い切る」っていいなと思いました。

 

P40

 古くなった靴下やシャツも掃除道具として利用して、とにかく最後まで使い切ります。ものたちが「十分に役目を果たして終わった」と思えるように、始末する感覚で暮らしているのです。形に残る新しいものは、めったに欲しいと思いません。皆さん驚かれるのですが、家のテレビなんて、いまだにブラウン管ですよ。

 人間もそれと同じ。十分生きて自分を使いきったと思えることが、人間冥利に尽きるってことなんじゃないでしょうか。こういう感覚を持つようになったのも、病気になって、命が限りあるものだということを認識してから。今では、仕事のマネージメントまで、自分ひとりでしています。誰かを雇うと、その人の家族の生活も抱え込まなければなりませんが、来年のことがわからない状態なので責任が持てませんからね。ともかく自分の最後だけは、きちんとシンプルに始末すること、それが最終目標かしら。