體の話

「筋肉」よりも「骨」を使え! (ディスカヴァー携書)

甲野善紀さんと、陸上の桐生選手の指導もしている松村卓さんの対談を読みました。

からだに対する実践をもとにしたお二人の考え方が、興味深かったです。

こちらは主題とは少しズレますが、印象に残ったところです。

 

P179

松村 ・・・たとえば、「この腕に触って」と言われれば、誰でも普通に触れますよね?

 でも、(反対の手を刀のようにシュッと動かしながら)こうやってイメージで腕を斬り落として無くしてしまうと、触ろうとしてもうまく触れなくなる。手を近づけても、触れると思った距離に腕がないんです。

 

甲野 なるほど。腕と一緒に気配が切れてしまうわけですね。

 

松村 これはあくまで仮説なんですが、私たちの身体は物体としての腕だけを感じているわけではない。その腕が発している微妙な波動のようなものを脳がキャッチし、そこに腕があると認識していると思うんです。要するに、腕を斬ったとイメージすると気配が消えてしまうので、触る側の身体が躊躇してしまう。脳は腕があると知覚したままですが、身体は見えない異変を察知しているわけです。

 

甲野 脳だけが気づかず、だまされているということですね。目に見えるものがすべてだと思って……。

・・・

松村 ・・・幻肢の逆をやっているんです。実際に腕はあるんですが、脳にないという指令を出すと、腕のない気配だけの状態になる……。これもあくまで仮説ですが、脳を介さずにこの気配だけを動かせたら、身体は本来の自然な動作ができるようになるんです。

 実際、この「気骨メソッド」でパンチを打つと、巨大な拳がいきなり飛び込んでくるように見えますから、桐生君に試したら、『北斗の拳』のラオウのパンチだ!って驚いていました(笑)。これもやり方を覚えれば、そんなに難しいものではないんです。

 

甲野 最近、私が強く実感するようになった「内観的な身体」と関係のある話ですよね。身体教育研究所の野口裕之先生が提唱されたものですが、話の意味がわからない人は、わけのわからないことを言っているとしか思えない内容でしょう(笑)。

 

松村 私だってわけがわからないんですけれど(笑)、でも、そうすることで実際の動きが変わるわけです。わからないと言っているのは脳だけで、身体はそれをわかっていると思うんですね。

 

甲野 そうですね。理由を知りたいのは脳だけなんですよ(笑)。