赤ちゃんの脳

バカなおとなにならない脳 (よりみちパン!セ)

養老孟司さんが、子どもの質問に答える本の中に、赤ちゃんは生まれた直後から母国語とそれ以外を区別しているという話があって、すごいなーと思いました。

 

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 最近、日立が、「光トポグラフィー」っていう、脳を調べる装置を使って、フランス人の、生まれたばかりの赤ん坊の脳を調べた。もちろん、これを調べる上で、赤ん坊になにか悪い影響は、ありません。

 で、何をしたかというと、フランス人の新生児に、フランスのテレビのニュースの音声を録音したテープを聞かせた。そうするとね。子どもの左脳が、ちゃんと反応することがわかった。新生児ですよ。それから、こんどは、同じテープを逆回しして聞かせたら、なんと左脳は反応しなかったんですよ。これは、赤ん坊は、すでにお母さんのお腹の中で、お母さんがしゃべってるのを聞いてますから、生まれたばかりでも、お腹の中で聞いていたお母さんの言葉(=母国語)と、それ以外を区別できてるってことですよ。

 胎教で、お母さんがお腹の中の子どもに本を読んでやる。それで、生まれてから、同じものをお母さんが読んでやると、赤ん坊の心拍数が下がり、落ち着くってことは、前からわかっていた。でもね、この光トポグラフィーの実験で、何がわかったかというと、子どもは、生まれたときから、すでに母国語と、そうでない言語を(つまり、お母さんのお腹の中で聞いていた言葉と、そうじゃない言葉を)区別しているということがわかったわけです。