遺伝子は、変えられる

遺伝子は、変えられる。――あなたの人生を根本から変えるエピジェネティクスの真実

遺伝子に関する本を読みました。

専門的な話ですが、一般の人も興味が持てるように書いてくれています。

 

P292

 今日、希少疾患は判明しているだけで6000種類を超えている。全部ひとまとめにすると、3000万人ものアメリカ人がその影響を被っていることになる。・・・

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 希少疾患の研究は、・・・すべての人の役に立つ。すでにぼくらは、SOX18遺伝子に突然変異のあるごく少数の人が、この遺伝子がリンパ系の構築に寄与する方法を教えてくれる例を見てきた。

 そして、ニコラスとトマスがぼくらを助けてくれるのも、この点だ。がんの多くは、リンパ系を乗っ取り、それを通して体中に広まる。このプロセスにSOX18が関与する様子をマッピングすれば、特定のタイプのがん治療で切望されている新しいターゲットが提供できる。さらにニコラスとトマスは、健康な腎臓を支援するSOX18遺伝子の役割についても教えてくれるかもしれない。

 だからこそ、ニコラスとトマスをはじめ、ぼくらの仕事を支えてくれる遺伝病を抱えた人たちには、何にもまして感謝すべきなのだ。医学の発展の歴史を振り返って考えると、彼らは、自ら手にするよりずっと多くの潜在的な医学的恩恵を、他人に施していると言えるだろう。

 これは新しいコンセプトではない。現代の遺伝子医学に関する理解をはるかに遡るコンセプトだ。1882年のこと―グレゴール・メンデルの死の2年前―今や病理学の父のひとりとみなされているジェイムズ・パジェットという名の医師が、希少疾患を抱える人々を「〝珍しい〝とか〝運が悪い〝などといった浅はかな考えや言葉で片づけてしまうのは恥ずべきことだ」とイギリスの一流医学誌『ランセット』で述べている。

「そういう人の中に、意味を持たない者などひとりもいない」とパジェットは続ける。「素晴らしい知識のきっかけをつくってくれない者など、ひとりもいないのだ。もし我々が、なぜそれは稀なのか、あるいは、その稀な疾患は、なぜこのタイミングで生じたのか、という問いに答えを出そうとするならば」

 

 ところで、明日から数日ブログをお休みします。

 いつも見てくださって、ありがとうございます(*^_^*)