曽野綾子さん

善人は、なぜまわりの人を不幸にするのか 救心録 (祥伝社黄金文庫)

再開です(^^)

 曽野綾子さんの、いろいろな本から、人間関係のヒントになるような文章を抜粋した本を読みました。

確かにそうだな~と思ったり、そこまで厳密に考えたことなかったなと思ったり、参考になるところがたくさんありました。

 

P84

 人とつき合うことについて、私もまた、若い時には大きな幻想を持っていた。それは、趣味から物の考え方まで、何もかも同じになれる友達というものがいる、と信じていたことである。私は今、常識的な意味では、心からつき合える人、実に気の合う友達を持っている。しかし、それは決して、相手が私と全く同じ人生観を持っている、ということでもなく、趣味が完全に一致しているということでもない。むしろ友人となり、適切な人間関係を持ち得るということは、いかに親しい友人であっても、生来、全く違う個性のもとに生まれついているということに厳しい認識を持ち、その違いを許容し得る、というところから始まるのである。

 それだから、私は、今この年になると、若い世代の人びとに言うことができる。人間関係の普遍的な基本形は、ぎくしゃくしたものなのである。齟齬なのである。誤解であり、無理解なのである。