人との出会い、人との交流って、なんかすごいなと思いました。
P243
・・・先生が話していたことを思い出した。
「私は人にパワーを吸い取られていると思っていたけれど、違うの。同じだけ出会った人からパワーもらっていると気づきました」
P249
わたしの人生。誰が先生とここにいるなんて思っただろうか。目標もなく、未来に希望ももてなかった学生時代の自分を振り返ると、考えられないことだ。でも、クラス中に無視された辛い経験、海外留学したこと、大学を1年休学して、自分を見つめ直したこと。すべてが先生と縁をいただくために必要不可欠なことだったと信じている。
何か一つでも欠けていたら先生に出会えなかったんだ。
「わたしの人生悲しいことも辛いこともたくさんあったけれど、先生に出会ってすべてチャラになった気がする」
就職活動での断り文句は、
「ご縁がなかったということで」
わたしはいつも、
「縁ってなに?縁なんてあるの?」
と思っていた。でも今なら強くそう感じられる。・・・
わたしは、先生と縁で結ばれたのだ。だから守らなくてはいけないという勝手な使命感がある。先生は強い人だけど、先生は孤独だ。孤独を好んで生きてきた。本当に苦しいときに弱音を言える人はいるのだろうか。誰かに心から頼ったりできるのだろうか。
「わたしは死んでも先生を守ります、先生が嫌じゃなければ」
という気持ちでいる。わたしは先生にとって、いつでもなんでも言える、そんな気兼ねない存在でありたい。
「人生経験はないし、頼りにできる存在なんて思えないかもしれないけれど、本当に何か困ったことが起きたら、いつでも言ってね。いつでも、どんなことでも、気をつかわないでいいから。わたしに打ち明けて。いま言ったことは頭に入れておいてね」
「頼もしいね」
と言って笑った先生は、わたしの言葉をきちんと受け止めてくれた。
「あんたがいなくなったらどうしよう。どこへも行けないよ。おらんかったら、なんか心細いよ。あんたがいなかったら……。まなほがいないときは、笑わないんだから」