こちらも翻訳家の柳瀬尚紀さんとの対談です。
柳瀬さんの生活リズム、こういうパターンが体に合ってる方もいるんだろうなと思いました。規則正しいと言えば規則正しいような?
P28
柳瀬 ぼくは三、四時間寝るともうだめなんです、起きちゃうんです。で、そのあと二十四時間起きてられるかっていうと、それは起きてられないことはないけれど、また眠くなると寝るという猫のような生活を……。ぼくの場合、『フィネガンズ・ウェイク』を約七年半やったときにはですね……。
羽生 やっぱり夜中に作業をしてたんですか。
柳瀬 そうです、もちろん夜中ですね。電話とかファクスとか、そういうものが来ない時間に。ある程度、かなりの程度かな、社会と隔たっていなければならない。集中していま形になりかけているものが、電話でパッと行方不明になったりしますから。
羽生 なるほど。やっぱり隔絶した空間で。
・・・
柳瀬 それぐらいまで『フィネガンズ・ウェイク』、凝ったんですけれども。そのときも、三、四じかんぐらい寝ると目が覚めちゃうんですよ。それですぐ起きて仕事をして、そのうちに頭が疲れるとすぐビールを飲んでパッと寝る。ですから日付変更線とかそううのが全然ないんです。
羽生 生活の時間帯が完全に……。
柳瀬 そうなんです。そういうふうになってしまったんですね。さすがに体をこわしたりなんだりしてから、なるべく普通の生活にしようとしていますが。さかのぼればぼくは、高校のころからそういう生活なんです。・・・夕方起きると、高校の同級生が帰りに寄るわけですよ。麻雀やったり酒飲んだりして帰るわけです。それからぼくはずうっと朝まで受験勉強。次の日また行かれませんわね。
羽生 ええ、そうですね。昼と夜が完全に逆転している。
柳瀬 完全に逆転してましてね。そういう生活をずうっと、大学もそうだし、大学院のときもそうだし、社会人になってからもそうで、いまだにそれが崩れないですね、どうにも。・・・