そういう感覚なのだなーと印象深かったところです。
P72
―羽生さんは、将棋について、海の比喩をよく使われますね。吉増剛造さんとの対談集(『盤上の海、時の宇宙』)でも、「盤に向かって潜っていくというか、のめり込んで考えていくというか、ほんとうになにか海の中に潜っていくというような感じになります」という発言をされています。
「海」という言葉を使うのも、わかりやすいということが一つありますね。
・・・
・・・海は実際には有限ですけれども、無限に広い感じがしますし、とても象徴的だと思いますね。
・・・
・・・やっぱり広いということがすごく……あとは、波があるということがとても大事なことです。だから、湖ではダメですね。
P89
「盤の前に座って考え始めると、なんというんですかね、盤に向かって潜っていくというか、のめり込んで考えていくというか、ほんとうになにか海の中に潜っていくというような感じになります。その潜っていくような感じが深ければ深いほど、時間の流れもあっという間に流れていくというか、意識というものがなくなっていく」