とてもご利益ありそうなお二人の対談本を読みました。
2015年の7月に長崎で行われた対談を収録したものです。
このお二人だから言える、というやりとりがいっぱいあって、面白かったです。
P92
美輪 ・・・「君子の交わりは淡きこと水の如し、小人の交わりは甘きこと醴の如し」というのは荘子の言葉です。
立派な人の人付き合いはサラサラとしていて、上手に距離を保つことができるので長く続いていく。一方、ちっぽけな人間の人付き合いは甘酒のようにベタベタとしていて、濃密であるがゆえに長続きしないという意味です。
・・・いずれにしても人付き合いは腹八分、もしくは腹六分と心に決めることをおすすめします。・・・
P99
美輪 ・・・私は人を見る時に、着ている物、容姿容貌、つまり顔形、年齢、性別、国籍、肩書といった外見は一切見ないで、目の前にいる人の心の純度がどれだけ高いか低いか、美しいか、優しいか、思いやりがあるか、そっちばかりを見るようになったんですね。
・・・
だから私は言うんです。「見えるものは見なさんな。見えないものを見なさい。それは心ですよ。目の前にいる人の心が純粋かどうか。それだけが問題です」って。
そういう価値観で人を見るようになったので、自分が綺麗だとか汚いとか、そんなことは仮の姿であってどうでもよろしい。顔がどうであれ美しい心の人はいるわけだしと、思っているんですね。
P140
美輪 雨露がしのげる家があって、着る物なり食べる物がそこそこあって、そして愛するお友達なり、恋人なり、家族なりが誰かいてくれれば、もうそれが一番平和な幸せな人生。骨折り損のくたびれ儲けにならなくてすむんですよね。
あの世に持っていけないんですもの、死んでしまったら。家も土地も財産も、誰かのものになっちゃう。つまり、お金も土地も、この世で借りているだけなんですよね。それに気がつけば、誰だって無駄なことはしないんですよね。・・・
瀬戸内 ・・・別に見栄を張ることもないし、世間体もどうでもいいんですよ。
そしてね、何事にも感謝するという心の癖をつけるといい。「ありがとうございます」と言い続けていたらね、間違いないです。