プロフェッショナル

「プロフェッショナル 仕事の流儀」スペシャル 挑み続ける力 (NHK出版新書)

プロフェッショナル仕事の流儀、テレビも興味深く見てますが、こちらの本も読んでるとエネルギーを分けてもらえるような。
こんな風に生きてる方々を見ると、元気がわいてきます。

こちらは羽生善治さんの、印象に残った言葉です。

P17
 ・・・一〇年前には持っていなかった携帯電話も、今は持つようになった。
「世間の流れに負けてしまって、ついに持つようになってしまいました(笑)。持っていないといろいろ支障をきたすことが増えてきたので、『持たない』ということにあまりこだわってもしょうがないかなと思って」
 そう話す羽生さんの表情は、以前と同じ、飄々としてよどみない。スマートフォンこそ持つようになったものの、「なんというか、いろいろなことがめまぐるしく変わっていくので、まあ、気にしないようにしています」。
 それは、四〇代を迎えてから、羽生さんが意識するようになったことでもある。
「やっぱり今は、情報の量がものすごいので、どうしても考えすぎてしまうんですね。覚えなければいけないことも、考えなければいけないこともありすぎる。だから、自分の方で調節しないとどうしようもないのではないか、ということに気がついて、ちょっといい加減にというか、あまり深刻に考えないようにしようと思っています」
 そうした考えの根拠には、羽生さんが目指す理想の境地「玲瓏」がある。
「玲瓏」とは、透きとおり、曇りのないさまを指す言葉だ。雑念にとらわれず、澄みきった心で盤面に向かう。「それは理想であって、実際には暗中模索のなかで前に進んでいる」と羽生さんは言うが、三〇代の頃も今も、そこを目指すというのは変わらない。
 あふれる情報のなかで、羽生さんが自分自身を見失わないでいられるのは、そんな揺るぎない理想を常に追い続けているからだろう。