日ハムを選んだのは

わいたこら。 ――人生を超ポジティブに生きる僕の方法

メジャーから日本に戻るのに、どの球団を選ぶのかと思ったら日ハムだったときは意外な印象でしたが、そういう理由だったんですね。

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 日ハムは2年連続5位に低迷するチームだった。
 次のシーズンから北海道に移転し、「北海道日本ハムファイターズ」として新しくスタートすることになっていた。
 正直、北海道みたいな寒いところで野球なんてできるのかと思った。
 しかも、北海道の人の多くがジャイアンツファンだってことを、僕は知っていた。
 ここまで読んできた人は、もうわかっているはずだ。僕が活躍できるチームがあるとすれば、日ハムしかない。僕は逆境になると燃えるし、力を出せるから。
 僕一人で、チームをどれだけ強くできるだろう?
 僕一人で、北海道をどれだけ盛り上げられるだろう?
 このチームを優勝させたら、どれだけ格好いいだろう?
 そう考えたら、ワクワクが止まらなくなってきた。
 年俸なんてどうでもいい。僕は日ハム入団を決めた。

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 北海道日本ハムファイターズは、1年目に3位でプレーオフ進出。2年目のシーズンは5位に終わり、僕は3年目のシーズンを迎えた。
 いろいろなパフォーマンスをやってきて、僕にはもうやることがなくなってきた。
 残ったのは、一つしかない。ファイターズを優勝させること。
 で、開幕して10日目くらいにヒーローインタビューで「今シーズンでユニホームを脱ぐ」と宣言した。
 これも僕なりの計算だった。
 引退を宣言することで、どの球場に行っても、ファンは僕の最後のユニホーム姿を見に来てくれることになる。つまり、満員のスタジアムでプレーすることになる。
 僕は阪神時代の経験から、満員のスタジアムでファンの人に応援してもらうと、選手が実力以上の力を発揮できることを知っていた。
 そもそもプロの世界に入った時点で、選手の実力なんてほとんど一緒。違うのは、みんなが注目するなかで結果を出せるメンタルを持っているかどうかだけ。・・・