目標設定

信じて根を張れ! 楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる (単行本)

選手の精神状態に配慮した目標設定、「ワクワクするプロセス」「楽しむ」という言葉もあって、すばらしいなと思いました。
日常生活やどんな仕事にも、マネできますね。

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 毎年、新たなシーズンを迎える際に、チームの目標を設定します。・・・
 目指すものは、具体的であれば具体的であるほどいいと思っています。選手がイメージできる具体像が必要です。帝京大の場合、「ライバルは誰なのか?」と考えると、「自分たち」なのです。
「去年のチームに挑戦しよう」
 ・・・選手にとって非常に明確で、かつ2連覇など結果を掲げていないので、ストレスも感じません。
 これは前年度のチームをリスペクトする気持ちもあります。前年度いなかった1年生以外の2年生から4年生がそれまで積み上げてきたことを肯定し、評価することになります。・・・
 そうはいっても、ハードなことに取り組む際は誰もがくじけそうになります。
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 企業社会に競争原理があるように、ラグビーの試合も相手とぶつかってみて勝負が決まります。帝京大は経験豊富な絶対的な自信がある子ばかりではありません。もともと自信のない子は、クロスゲームになるとパニックになりがちです。シーズンの勝負どころでは、せめぎ合うクロスゲームになる瞬間が必ず出てきますから、そういった場面で落ち着いて自分のプレーに専念するには自信が必要です。「おれたちは優勝したチームを超えているんだ」という自信がものをいうと思っています。
 とはいえ、「去年のチームを超える」という目標は、決して簡単なことではありません。メンバーも替わり、リーダーも替わり、ライバル校から研究もされます。土台を崩さないようにしながら、どういう積み上げをするか。それには、部員にハードな練習に対する我慢や忍耐だけを求めるだけではうまくいきません。やりがいのある、ワクワクさせてあげられるプロセスを用意することが大事です。
 最近、アスリートたちが、試合や競技を「楽しみたい」と発言します。働く際も「楽しんで仕事をしたい」と言います。このような価値観は昭和の時代にはあまり存在しませんでした。そのため、私たち世代があまり味わってこなかった概念ですが、時代の変化とともに学んでいるとも思うのです。どんなことでもやる気が出ると、人間楽しいもの。意欲を持って取り組むことが「楽しさ」につながります。