プラントハンター

プラントハンター 命を懸けて花を追う (徳間文庫カレッジ)

植物卸問屋「花宇」五代目の方の本を読みました。
こういう仕事もあるのだなーと、新鮮でした。
ここは、桜の仕入れのお話です。

P182
 私の祖父、卯之松が開花調整用の桜を探して、長野県の筑北村を訪れたときのことです。ある農家の男性と話をしてみたところ意気投合。
「これから苗を送るから、うちのために桜を育ててくれないか?」
 とお願いをしました。筑北村は豪雪地帯で、目立った産業がない。しかし桜の栽培なら土地さえあれば可能です。・・・農家の人にとってみれば冬の収入が確保できる。・・・それから現在にいたるまで約四五年間、筑北村は花宇にとって大切な桜の供給源になっています。
 ・・・
 筑北村には、桜の状態を管理し、花宇の職人が合宿に行ったときに世話をしてくれる村のリーダーがいます。
 西澤寿雄さん、御年八六歳。この人こそが、私の祖父と意気投合して、いちばん最初に村に桜を植えた方なのです。
 先祖代々から続く商売だからこそ得られるご縁です。
 ・・・
 ・・・あるときからよく、
「おじいちゃんにそっくりだな」
 と言われるようになりました。寿雄さん自身も、私に祖父の姿を重ね合わせて、自分の若いころを思い出しているのかもしれません。・・・
 そんな寿雄さんが教えてくれた、とても素敵な言葉があります。
 ・・・二人でこたつに入って奥さんが食事の用意をしてくれているのを待っていると、小さな短冊に書かれた寿雄さんの書が壁に飾られているのに気づきました。
 そこには、こう書かれていました。
「その花を愛し、その根を想う」
 美しいものの裏側には、必ずそれを支える裏方がいる。
 そのことを忘れてはならない。
「寿雄さん、ええ言葉ですね。その短冊」
「ああ、これか。ちょっと書いてみただけだ」
 照れくさそうにしている寿雄さんを見て、まさに寿雄さんこそ花宇にとって大切な根なんや、と気づきました。・・・

ところで、ゲートウェイ・ヴォエッジ https://www.aqu-aca.com/seminar/gatewey/のお手伝いに出かけるので、1週間ほどブログをお休みします。
いつも見てくださってありがとうございます(*^_^*)