デンマーク

純情ヨーロッパ 呑んで、祈って、脱いでみて 西欧&北欧編

こちらはデンマークのお話です。

P37
 軒先に掲げられた国旗を指し、「デンマーク人って、ホントに国旗が好きだね〜」と言うと、ウェイターのおっちゃんがウインクしてみせる。
「僕たちはデンマークを愛してるからね〜!」
愛国心がオープンだねぇ。デンマークは幸福度が高いっていうけど、ホント?」と聞くと、おっちゃんはニコニコ顔で言う。
「もちろん!み〜んな平等がモットーの国だからね」
「マジで、ホントにみんな平等なの!?でもほら、仕事によって給料の差はあるでしょ?」
「そりゃ少しはあるけど、この国は欧州で一番、所得差がないんだよ。デンマークは土地の高低差がないフラットな国なんだけど、人間も高低差がないんだ」
 確かにここに来るまでに、介添えなしで車椅子に乗っている人をたくさん見かけたなぁと思う。これは何も、ハンディキャップを持った人の割合が多いのではなく、ハンディキャップを持った人が気後れすることなく、気軽に外出できる環境だからなのだ。
「でもさ、税金がバカ高いじゃん!物価が高すぎて、働くのがイヤになんない?こんなになんでも高いと、将来に備えて貯金なんかできないでしょ?」
 さっき水のペットボトルを買ったら450円もしたので、私はドン引きしてしまったのだ。
「働いても半分は税金に持ってかれるけど、払っただけのサービスが受けられるから、不満はないよ。それに、僕らは貯金する必要がないんだ。税金が"貯金通帳"みたいなモノだからね」
「へーっ、税金が貯金通帳!それって、老後の心配もないってこと?」
「医療も介護もタダだし、福祉が充実してるから将来への不安はないよ。大学まで学費はタダだし、大学生になれば国から生活費も出るから、子どもにお金がかからないしね」
「将来への不安がない!教育費もタダ!」と目を丸くすると、おっちゃんは笑顔で言う。
「みんなでハッピーが一番さ。僕らは、みんながみんなのために働いてるからね」
「そう言い切れるなんてスゴいね〜!」