言葉

偶然の装丁家 (就職しないで生きるには)

 元新聞記者のラルーとのやりとり。ああ、確かにそうだ…わかってるつもりでわかってなかった(^_^;)と思いました。

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 ラルーはひとくせある人物だが、よい話し相手になってくれた。ぼくのめためたな英語を、彼は忍耐強く聞き、理解しようとした。ややこしい話の途中で、うまく説明できない、英語ができないから、と投げだそうとするたびに、「話してごらん、ぼくにはわかるよ。同じ言葉を話していたってわからないことだらけなんだ。言葉ができるできない、ということと、伝わる伝わらない、ということは別問題さ」と励ましてくれた。インドにきてからずっと抱えていた言葉へのコンプレックスは、彼との対話のなかでゆっくり溶けていった。