型にはめない

死なないつもり (ポプラ新書)

創造的であるってこういう感じなんですね。

P151
 ・・・僕は、自分の中に無数の「小さな私」がいるのを感じます。・・・
 大人になることは個性を持つこと、自分らしさを持つこととされています。アイデンティティを持つということです。だけど、僕はそのことを強調しすぎるとよくないと思うんです。個性の強調が自分を型にはめるというか、新しい自分が出てきた時にどうしたらいいかわからなくなる可能性があります。
 アイデンティティは一つではありません。・・・たくさんの「小さな私」を解放すること、いわば自由にやらせておくことが、自分の悟性を高めることにつながっていくと思っています。
 キョロキョロ落ち着きなく、興味を持ったら結果を考えずにやってみる。飽きたら放り出す。そういう子ども心をずっと持ち続けていたいんです。

P190
 僕自身、別に危ないことを求めているわけではないんだけど、結果としてそうなってしまう。あたふたして、ちっともその時は楽しくはない。帰ってきてしばらくして、それが作品につながることはありますが、それはずっと先になって出てくること。
 旅の結果や成果というところでは、どちらかというと失敗旅行みたいなほうがいろいろな意味で役に立ちますね。計画通りにうまくいった旅は、あまり内面化しない気がします。