晴れたら空に骨まいて

晴れたら空に骨まいて

「パリでメシを食う」「パリの国連で夢を食う」がおもしろかった川内有緒さんの新刊「晴れたら空に骨まいて」を読みました。
散骨をめぐるドキュメンタリー。
感想は、とにかく読んでよかったです。
一部抜粋が難しいので、はじめに、にあった本の内容紹介を書きとめておきます。

P5
 親しい人の死―愛する人の永遠なる不在―は、誰にでも起こることながら、人生でダントツに辛いできごとだ。だからこそ、語らずにすめば語らないほうがいいとすら思っていた。
 それなのに、どうだろう。
 決して悲しいだけの話ではなかった。むしろ幸せな話をたくさん聞いた。手を打って笑いころげたのは、一回や二回ではない。時として、人生とは、想像がつかないほどに愉快だったりマヌケだったりして、悲劇とコメディーは常に紙一重なのだと思う。

 ずいぶんと長い前置きになった。
 要するにこの本は、自由に生き、その人らしく死んでいった人々の話であり、さらにその故人を、「その人らしく」をモットーに形式に囚われずに見送った人々の物語だ。散骨にこだわったわけではなかったが、散骨の話が多くなったのは、きっと風や波と共に旅立つその姿が自由な生き方に似合うからなのだろう。
 ミクロネシアの小さな島の小さな村で、レストランを開いた夫婦。
 登山家との生前の約束を果たそうとヒマラヤに挑んだ大家族。
 絵を描く旅の途中で客死してしまった父親を現地で見送った家族。
 インドで出会った友人を看取り、インドの川に還した若き装丁家
 こうして書くと、みんな旅が好きで、個性的な人ばかりだった。しかし、彼らは特別な人々なんかではない。精一杯生きて、働いて、旅して、誰かを愛したふつうの人々である。残された人は、今日も彼らを想いながら生きている。