「日本でいちばん大切にしたい会社」に選ばれた日本理化学工業の会長さんの本です。
読むと心が鎮まりました。
また心に残ったところを書きとめておきます。
P27
・・・空いていた隣の座布団に、偶然にもご住職が座られました。・・・こんな質問が思わず口をついて出ました。
「うちの工場には知的障害をもつ二人の少女が働いています。施設にいれば楽ができるのに、なぜ工場で働こうとするのでしょうか?」
一瞬、間がありました。
そして、ご住職は私の目をまっずぐに見つめながら、こうおっしゃったのです。
「人間の幸せは、ものやお金ではありません。
人間の究極の幸せは次の四つです。
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
そして、人から必要とされること。
愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
障害をもつ人たちが働こうとするのは、
本当の幸せを求める人間の証なのです」
私は、しばし言葉をなくしました。
そして、深く考えさせられました。
確かにそうだ―。
人は働くことによって、人にほめられ、人の役に立ち、人から必要とされるからこそ、生きる喜びを感じることができるのだ。
・・・
働くことが当たり前だった私にとって、この幸せは意識したことすらないものでした。しかし、意識していなくても、その幸せはずっと私の心を満たしてくれていたのです。
それがいかにかけがえのないものか、私は、生まれて初めて考えさせられました。