利他のすすめ

利他のすすめ~チョーク工場で学んだ幸せに生きる18の知恵

「日本でいちばん大切にしたい会社」に選ばれた日本理化学工業の会長さんの本です。
 読むと心が鎮まりました。
 また心に残ったところを書きとめておきます。

P27
 ・・・空いていた隣の座布団に、偶然にもご住職が座られました。・・・こんな質問が思わず口をついて出ました。
「うちの工場には知的障害をもつ二人の少女が働いています。施設にいれば楽ができるのに、なぜ工場で働こうとするのでしょうか?」
 一瞬、間がありました。
 そして、ご住職は私の目をまっずぐに見つめながら、こうおっしゃったのです。
「人間の幸せは、ものやお金ではありません。
 人間の究極の幸せは次の四つです。
 人に愛されること、
 人にほめられること、
 人の役に立つこと、
 そして、人から必要とされること。
 愛されること以外の三つの幸せは、働くことによって得られます。
 障害をもつ人たちが働こうとするのは、
 本当の幸せを求める人間の証なのです」
 私は、しばし言葉をなくしました。
 そして、深く考えさせられました。
 確かにそうだ―。
 人は働くことによって、人にほめられ、人の役に立ち、人から必要とされるからこそ、生きる喜びを感じることができるのだ。
 ・・・
 働くことが当たり前だった私にとって、この幸せは意識したことすらないものでした。しかし、意識していなくても、その幸せはずっと私の心を満たしてくれていたのです。
 それがいかにかけがえのないものか、私は、生まれて初めて考えさせられました。