問題を問題視しない

不食という生き方

ほんとにそうなんですよね…このことに気づけたら…

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 ある日、事務所に母娘がいらっしゃいました。
 九歳の娘さんは不登校で偏食でした。お母さんは疲れた様子で、何とか学校に行かせたい、何とか食べて欲しいと私に訴えられました。娘さんは朝も昼も食べず、アイスとチョコを食べているという話でした。
 この話だけを聞けば、大変な事態だと思われるかもしれませんが、娘さんの目は輝いています。身も心も病人ではなく立派な健康体なのです。
 そのとき、私は直感しました。
 この母娘の状況は、娘さんではなくお母さんが病んでいるのだと。お母さんはとてもまじめな方ですが、残念ながら「こうしなきゃいけない」という思いが強すぎて、娘さんとの双方向のコミュニケーションが希薄になっています。
「こんな素敵なお嬢さんが退屈な学校に行くのではなく、あなたと一緒にいてくれるなんて、お母さんは幸せじゃありませんか?」
 そう話す私に、お母さんは相談する相手を間違えたと思われたでしょう。
 ここで私から、ぜひ申し上げたいことがあります。
 それは子どもへの接し方です。
 親は子どもにばかり関心を寄せ、心配する必要はありません。逆に信頼して、子どもへの関わりをほどほどにする。そして親自身がやりたいこと、関心のあることに意識を向けると、不思議なほど親子関係の悩みは消えます。
 ここにあるのは、意識のエネルギー関係です。
 意識というエネルギーは、おたがいが適度にやりとりして初めて安定します。どちらか一方が過剰に出すと関係がぎこちなくなり、じきに悪化します。
 そしてこの関係は親子に限りません。夫婦、恋人、上司と部下、友人、ありとあらゆる関係で共通します。
 こうしなきゃ、こうでなければというのは、固定観念による思い込み。
 そこに気づき「問題を問題視しない」という姿勢が、悩みを解消します。