以前の常識は今は・・・

働く君に伝えたい「お金」の教養

家を買うか、賃貸か、どちらが得かということなどにも、なるほどという考え方が載っていました。

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 正直、賃貸ではなくマイホームを買ったほうがトクをするという状況は、いまの日本ではあり得ないでしょう。
 僕がとりわけ若い世代にマイホーム購入を勧めない理由は4つあります。
1 自分の流動性が下がる
 長期の、たとえば35年ローンを組むと、身軽に生きづらくなります。・・・自分の一生が家に縛りつけられてしまうのです。将来の自分の行動を縛ることにつながる選択は、雇用の流動化が進む世界では大きなリスクになると考えます。
2 家族形態の変化にあわせられない
 ・・・したがって、仮にマイホームを購入するなら、子どもが巣立ったあとがいいのではないでしょうか。
3 成長性のなさ
 人口が減りはじめ、日本経済の先行きも決して楽観できないいま、よほどの一等地でなければ不動産価値の成長は見込めません。・・・
4 空き家の多さと買い手の不在
 人口減のまっただなかにいる日本の空き家は、1000万戸に迫る勢いです。・・・
 ……と、ネガティブな要素ばかりお伝えしてきました。不動産業界の人に怒られてしまいそうですね。
 それにしても、なぜ日本では持ち家志向が強まったのでしょうか?じつは、これも戦後の高度成長の影響です。・・・
 ・・・政府は、市民に夢を持たせ、マイホームを買ってもらうことで、内需を拡大しようとしたのです。・・・
 一括で支払うのであれば、リスクはだいぶ少なくなるでしょう。それに、自分が住むため、つまり投資ではなく純粋なマイホーム用なら、リスクは低いと言えます。
 ただし、「資産として持っておく」と考えて不動産を持つのは、危険。資産としての価値が上がるのは、人口の増加や経済成長が前提です。

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 敗戦からバブル崩壊までのおよそ50年間で形成されたさまざまな「常識」は、普遍的なルールではなく、もはやいまの日本では通用しなくなってきています。
 それではなぜ、この時代だけがこんなにも特別だったのでしょう。

 この後に、この時代がどのように特別だったか、そして専業主婦文化も特別だった、など、知っておくと考え方のベースがしっかりする知識が色々紹介されていました。