先日のNHKスペシャルのインタビューも見ましたが、大谷さんに関する何かを観たり聞いたりするだけで、笑顔になれる気がします(^^)
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ブルペンでのウォームアップが終わり、ダグアウトへ戻る途中、大谷はふと足を止めた。・・・
大谷の足を止めたのは、ミニッツメイド・パークの芝の上に落ちていたガムの包み紙だった。彼はわざわざ立ち止まり、そのゴミを拾ってポケットに入れた。
その行動を見ただけでも、二刀流スター選手の人となりと、彼が愛される理由を知ることができる。・・・
野球選手として向上していくことはもちろん大事なのだが、彼は幼少期に教えられた大切なことを決して忘れず、よい人間であろうと常に心がけている。親しみやすく、常に他者への思いやりを持っている。大谷は、自分がガムの包み紙を拾うことによって、他の誰かが面倒な思いをせずにすむと考える。
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これまでもそうだったが、大谷には人々を温かい気持ちにさせる力がある。・・・通訳の水原一平を介しても、大谷の礼儀正しさと他者を思いやる心は充分伝わってきた。
メディアに追いまわされ、何十人もの日本人記者がつきまとうことについてコメントを求められると、大谷はこう答えた。
「日本のメディアがたくさんクラブハウスに来ていると、むしろチームメイトへの影響が心配ですね。気が散るんじゃないかと」
このような気遣いは、肘の故障がふたたび明らかになったときにも見られた。多くの球団関係者が大谷の負傷に肩を落とす中で、人々に笑顔を取り戻そうと、その週に大谷は素晴らしいプレーを見せてくれた。
「つらいのは自分だけじゃないですから。支えてくれる皆さんにも、つらい思いをさせてしまっているので」大谷は言う。「いいプレーをすることで、明るいニュースを届けられればと思っていました。だからよかったと思います」
大谷には、スプリング・トレーニングで不振だった際に支えてくれた人々への恩返しの気持ちがあったのかもしれない。あの時期、マイナーリーグの打者相手に苦戦し、メジャーリーグの投手から打つこともできなかった大谷が、2度目の週間MVPを獲得するとは誰が予想できただろうか。はるか昔のことに思えるが、春にアリゾナで球団全体が大谷のために尽力したことは、彼の心に深く刻まれていた。
「やっぱり、レベルはかなり高いと思いましたし、毎日打席に立つたびにそれは感じていました」大谷は〝太陽の谷〟と呼ばれる街に隣接したスタジアムで、暗中模索していた当時を振り返った。
「あのころは少し自信を失いかけていたかもしれません。そんなとき、GMのビリー・エプラーさんが励ましてくれました。能力はあるんだから、自信を持ってやればいいと言ってくれて。すごく励みになりました。コーチの方々や、チームメイトも皆、励ましの言葉をかけてくれました」
どれだけ天賦の才に恵まれている選手でも、温かい言葉で背中を押してもらいたいときがあるのだ。
「そうした言葉をかけてもらったから、乗り切ることができました」
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大谷の最後の投球はトラウトを打ち取っただけでなく、大谷とまわりの選手たちの実力差に関する論争に火をつけた。
「あの投球は素晴らしかった」3塁手のノーラン・アレナドが語る。「マイク・トラウトが打てないんじゃ、他の誰にも打てないよ」
もちろん大谷は他の誰とも異なる存在であり、その事実こそがWBCの全試合を通して明らかになったことだ。
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そして大谷へ浴びせられる賞賛は、とどまるところを知らない。
日本にとって国民の息子であり、今や野球界のトップ選手である大谷よ、ありがとう。野球界が宇宙であるなら、その中心にいるのは間違いなく、大谷翔平その人だろう。