創造の法則

創造の法則

奥平亜美衣さんと阿部敏郎さんの対談本、わかりやすく興味深かったです。

 

P31

阿部 今から数十年くらい前のアメリカのテレビ番組で、月に降り立った宇宙飛行士と、精神医学の権威の人が対談をしたそうです。そのときに宇宙飛行士が「私は月で神と出会いました」と言ったんです。司会者が「どういうことですか」と言ったら、精神医学の権威がサラサラサラッと紙にメモを書いて、それを宇宙飛行士に渡した。宇宙飛行士はそのメモを見て、「アッ、先生そのとおりです」。

 何が書かれていたかというと、「あなたは地球上に生きているときは、『私が世界の中を生きている』というふうに生きていましたよね。ところがあなたが月に行って、神と出会ったと言う体験は何かというと、あなたを含んだ全てがそこにあったんじゃないですか」。あなたと全てがあるのではなくて、あなたを含んだ全てがただあった。全てがあなただったのではないですかということが書いてあって、「そのとおりです」と。その体験をその人は「神と出会った」という言い方をしたわけです。それが非二元の状態です。

 実は今もそうなんですよ。

 

奥平 そうです。何か修行をしなければそうなれないのではなくて、もう既にそうなんです。

 

阿部 そうでしかこの宇宙は存在していない。ただ、我々には大脳新皮質なのかな、ものを考える力があって、その考える力が、「私という主体」をつくるわけです。その主体が結局、私と世界を分けてしまっている。

 でもこの主体は脳が考えたことであって、本当はそんなのは存在していない。ただあるがままに、今刻々と、今この瞬間に、見えて、聞こえて、香って、感じてということが起きていて、それをもとにしてこういうことが起きているという解釈が起きている。ただそれが瞬間、瞬間起きているだけです。

 しかも大脳は、そのことを結びつける力もあって、こういうことが起きて、今の私がいて、今の私はこれからこういうふうに生きていくだろうと、時間軸の中でストーリーをすくって、その時間の中を固定した私というものが生き続けているというふうに捉えているわけです。これが二元の世界の人が持っている人生観の根幹です。

 非二元とは何かというと、このストーリーも脳がつくったもの。そこに生き続けている私という主体も脳がつくったもの。以上。なんですよ。

 

P38

阿部 ・・・要は、僕もあなたも1つのものがあらわれているのです。僕らは違うと思って暮らしてきたから、あなたと僕が同じもののあらわれだなんて思えない。だけど、僕の中で生きている命と、あなたを生きている命は同じものなんです。

 ・・・

 ・・・何もしない、気楽に任せるということが、結局、できそうで、できないわけです。自分の力で何とかしなければということが染みついているからできない。私がしなくても全体がやってくれるんだという心境になるためには、一番早いのは私イコール全体だという感覚を思い出すことです。

 ・・・

 これは言葉で言うと変だけど、事実なんですよ。我、即、神なんです。あなたが神なんです。神がどこかにいるのではない。

 

奥平 もう既にですよ。何かしなければそうなれないのではなくて、既にそうなんです。

 

阿部 ここの分かち合いが難しいのは、我々は言葉を使わないと伝達できないからです。・・・言葉というのは何でも対象化してしまう。どういうことかというと、例えばソースだとか、全体だとか、源だとか、宇宙と言ったときに、宇宙というのがある、全体というのがある、ソースというのがあるというふうにイメージしてしまうのです。

 

奥平 自分とは別の何か。

 

阿部 そこが言葉の限界なわけ。これはどこかにあるのではなくて、今のあなたの存在が、それそのものなんです。・・・

 ・・・2500年前から、お釈迦さんはお釈迦さんの言い方で言っているし、いろいろな人たちが異口同音にずっと伝え続けてきている真実です。あなたは波じゃないよ。あなたは海だよ。これだけです。

 その海の先端のセンサー、これが我々1人1人の創造力だと思ったらいい。あなたも僕も、ソース、全体がこの世に遣わせた神経細胞の先端であって、その先端がいろいろな体験を自分の中で紡ぎながら、何か新しいものを創造していく。その喜びが宇宙の喜びなんです。宇宙は、我々を使って自分をより拡大しようとしていると思ったらいいです。その宇宙はどこかにいるのではなくて、あなた自身なんですよ。

 

奥平 だから好きなことをすればいいんですよ。

 ・・・

 だけどみんな、こう生きなければいけないとか、誰かがこう言うからこうしなければいけないと縛られているから、波になり切れない。

 ・・・

阿部 この宇宙の皮肉は、とてつもなく壮大な偉大な存在が、とてつもなく小さく固まって、「私なんて」と言っていることです。この壮大なトリックというか勘違い、あるいは自己催眠は、宇宙の奇跡の1つだね。

 ・・・

 ・・・これから時代もどんどん変わっていくし、制度も変わっていくし、その中で本当に自分はどうしたいかというところを、どこまで勇気を持って生きられるかというのもある。結局、勇気というのは、マイナスの思い込みがあるから勇気が必要なわけで、マイナスの思い込みがなければ、ただ自分が楽しいことをやっていれば展開していくわけです。