天才の考え方

天才の考え方 (単行本)

 将棋は全然できないのですが(;^_^A、面白そうだなと思って読んでみました。

 印象に残ったところを書きとめておきます。

 

P42(渡辺明の思考法)

 この世界において勝ち負けという結果は動かすことができない。しかし、・・・

 負けや失敗の中には必ず理由がある。それを見つめて生かすようにしていけば、長い目で見て、負けにも意味を持たせられる。

 ・・・

 強い人ほど負けた将棋の内容がいいともいえる。

 将棋界には「名局賞」というものがある。私も何度か受賞しているが、勝った将棋でも負けた将棋でも受賞している。羽生九段などは負けた将棋で受賞していることのほうが多いのが事実だ。私はかつて、こうした賞は勝って受賞したいと思っていたが、負けた将棋で受賞することにも意味があるのに気がついた。

 負けた将棋が評価されるというのは、苦しい状況の中でも粘り続け、どちらが勝つかわからないような名勝負に持ち込めたからである。そういう将棋にはそれだけのすごみがあるし、棋士の地力が伝わる。

 

P61(加藤一二三の思考法)

 勝負師には負けず嫌いが多いが、私は違う。

 対局に臨む際、どんな相手であっても、自分が負けると思ったことはない。それでも当然、負けるときは負ける。その際にも自分を責めることはないのだ。

 自分がダメだったから負けたと考えるのではなく、「今回の対局では相手が上回っていた」と受けとめる。

 ・・・

 たびたび負ける相手がいても、歯が立たないとは思わない。前回の対局時点では自分を上回っていたというだけだ。

 藤井聡太七段の連勝記録が途切れたとき、私はツイッターでメッセージを送った。

「人生も、将棋も、勝負は常に負けた地点から始まる」

 

P72(加藤一二三の思考法)

 自信を失わなければ、負けを悔いることはなくなる。

 勝つためにどうすべきかを考え、迷いなく次の勝負に挑めば、逆転は可能になる。

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 羽生九段にしても・・・「将棋を覚えてからの一、二年は勉強しても勝てなかったんです」と本人が言っていた。

 大抵のプロは将棋を覚えたての頃から頭角を現すものだ。それを考えれば、永世七冠の有資格者となり、国民栄誉賞を授与された羽生九段が最初は弱かったというのは信じがたい。しかし、現実にそうだったのだろう。歯を食いしばり、あきらめずに努力を続けることも大切なのだと教えてくれるエピソードだ。