天職について

吉本ばなな 奥平亜美衣 自分を愛すると夢は叶う

天職についてのお話、同感でした。

 

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ばなな 簡単に言ってしまうと、天職は「天が自分に求めている仕事」であって、「自分が天に求めている仕事」ではないんです。ところが、一般的には、「自分が天に求めている仕事」を、天職と勝手に呼んでいる気がします。

「天が自分に求めている」ということは、「天が自分に授けた能力」であって、「自分が授かりたかった能力」ではないということです。

「天が自分に授けた能力」と「自分が授かりたかった能力」が一致すると、天職が見つかったと思えるのかもしれません。

 そこが一致しないということは、自分の内側の調整がうまくいっていない。だから、まずそこから調整していかないと仕方ないのかなと思います。

亜美衣 「天が自分に授けてくれたものに、どうやったら気づけるか」が大事ですね。その点、「こういうふうになりたい、これをやりたい」という願望が、内側から来ているものであれば、天職につながる可能性はあると思います。でも、外側の情報に惑わされていると、「これじゃない、あれじゃない」を繰り返してしまう。

 一日十数時間、起きている時間があるとして、その時間に人は絶対、何か行動しています。その中で自然と出てくる「これをしたい」という素直な気持ちに従えば、必ずいつか、天職とか天命にたどり着けると思うんです。

ばなな たいてい「すでにしていること」が天職だと私は思います。少なくとも、やったことがないようなことではない。「すでにしていること」、あるいは「やらざるを得なくなったこと」だと思います。

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 好きだったらなんでもできるわけではなくて、もっと苦しむこともあると思います。「好きだけど、さじ加減できる」のが、天職の特徴だと思います。