道を消す

ワンネスの扉 ― 心に魂のスペースを開くと、宇宙がやってくる

 ある日、ワンネスへの道を消したというエピソード、印象的でした。

 

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 僕には気分や直感として、魂の求めるものが聞こえてくる。波や風のように。後ろから波が押し寄せてきたり、そよ風がいつのまにか吹いてくるような感覚で、いつも驚く。

 魂が何を求めているかわかったのは数年後だ。最初はワンネスを自分で起こしても、その先どうすればよいか、何が起きるのか、何もわからなかった。

 ある日、することがなくて、ふとワンネスを誘起してその感覚でも楽しもうかと思った。その瞬間、心に矛盾が生まれた。僕の要求とワンネスの次元がかみ合わない。はじめてだった。そういう自分勝手なきっかけはワンネス体験を汚すように思えた。ワンネスはあくまでも神聖な体験で、習得したりコントロールしたりできるものではない。

 あるとき、ワンネスの状態を体験していて、光る液体が僕の頭上からお尻まで通り過ぎていった。その液体は白く発光しており、まるで意識を持つ宇宙が身体の中を通ったような感じだった。なぜそのような白く光る液体が僕の身体を通り過ぎていったのか、自分を観察してみた。おそらく、ワンネス体験のおかげで人にも世界にも広がっていた僕の意識や共感覚が、日常の現実を生きるなかでだんだん窮屈で偏狭になっていたのだろう。

 きれいな水が流れていたはずの水道管が時間の経過とともに汚れていき、ときどきパイプの中を洗浄する必要があるように、僕というパイプにも汚れが付着し、光が通りにくくなっていたのを強制的に洗い流されたのだと思う。実際、その光る液体が通り過ぎたあと、僕は肉体的な痛みを感じた。

 僕はワンネスを呼び起こす状態ではなくなったのに気づいた。心の掃除が必要だと思った。いつの間にこんなに汚れが溜まってしまったのだろう。

 さらにもう一つ思ったことがある。ワンネスは、脳の「安定」への期待とは真逆に、つねに「変動」する。・・・いつも変化している。躍動する宇宙と同じだ。

 ・・・ワンネスは野生動物と一緒で、自然のなかで環境と調和しながら生きている。行く先は本能次第。宇宙のバランス次第なのだ。

 だからその日、ワンネスを解放することに決めた。

 ワンネスの起こし方を忘れようと決めたその瞬間を、今でもよく覚えている。

 その決意はハートの奥から響いてきた。「今の心はワンネスを体験する理想の状態ではなくなった。ワンネスの起こし方を忘れ、もういちど違う方法でワンネスまでたどり着こう」と。

 ・・・

 あの日、僕は生まれ変わった。新しい自分が生まれたのだ。それは感覚でわかった。

 奥にあったものがようやく表に出たような感覚だった。ずっと外に出たかった自分が、やっと出られた。生きている感覚を初めてのことのように体験する、真新しい自分がいた。