つづきです。思いやる心ってあたたかいです。
こちらは洋菓子職人、横溝春雄さん。
P125
・・・連日四〇〇組を超える客がやってくる。・・・「上品さとやさしさを感じる」「なぜか心が温かくなる」と、熱烈なリピーターを生み出している。
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・・・冷凍技術が発達している今でも、できあがった洋菓子、焼き菓子は一切、冷凍保存はしない。お菓子に使う果物は、産地を厳選し、さらにそれが一番おいしい時期にしか使わない。
「食べてくれる人に喜んでもらおうと、真心を細部に宿らせ、突き詰める」
それがこの道四八年の横溝さんの変わらぬ哲学だ。
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君の失敗は、僕の失敗
お菓子作りには、たしかに技術は必要だ。しかし、それと同時に、ともに働く仲間や弟子にも真心を尽くせる人間でなくては、けっして客が喜ぶようなものは作れない。・・・
こちらは南麻布のクリーニング職人、古田武さん。
P163
連日、数百万円を超えるオートクチュール品や一点物の洋服が、全国から届く。さらに、クリーニング店までもが、自分の店では手に負えないような品を持ち込む。・・・
指揮をとるのは、業界で〝神様〝と呼ばれるすご腕のクリーニング職人、古田武さん。
古田さんのクリーニングは、たんに汚れを取るだけではなく、その風合いまで蘇らせると言われる。客は、「買ったときよりきれいになる」と驚くという。
たとえば、カシミヤのセーター。洗う前にすべての寸法を測り、詳細な記録をつける。洗ったときに、糸の繊維はその性質上縮んでしまうが、乾かすときにそのぶんだけ引き伸ばし、洗う前とまったく同じサイズにする。また、アイロンは直接当てず、繊維の先に少し触れる程度だけ「浮かせて」かける。腕にかかる負担は大きいが、カシミヤの毛を傷つけず、柔らかく立たせることができるのだ。
・・・古田さんに言わせれば何も特別なことではない。機械化や効率化が進むクリーニング業界のなかで、非効率を理由に敬遠され、そぎ落とされてきた仕事を、ただただ丁寧に行っているにすぎない。古田さんは言う。
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「技は心。たとえばこんなところにシミがあったら嫌だろうなあと。だからもっときれいにしてあげたいとかね。それが技術の向上につながるんですよ。だから思いやりのないやつの仕事っていうのは感動しない。満足はしてもらってはいるかもしれないけど感動はしてもらってない」
ところでこの週末はブログをお休みします。
いつも見てくださってありがとうございます(*^_^*)