すばらしい回答

人生の極意 (扶桑社新書)
佐藤優さんの「人生の極意」を読みました。
今まで、見た目の迫力に圧倒されてこの方の本を手にとることがなかったのですが(^_^;)読んでみたらすばらしい。
これはSPA!に寄せられた人生相談が本になったもので、こんなに親身な、しかも現実的で論理的な回答は、これまで目にしたことがないと思いました。

まえがきにその姿勢が書かれています。
P5
 時には、私にとって、まったく受け入れられないような考え方をしている読者からの質問が寄せられることもある。こういうときも、私は「いかなる状況においても相談者の味方である」という原則を崩さないことにしている。

 ダークな領域の相談も多いので、中身のご紹介は控えますが(私にとってはとても参考になりましたが、見て心地いいものではないかもしれないので ^_^;)

 たとえば失業中の35歳の息子に17万仕送りをしているという71歳の母親からの相談にも「息子さんを『怠け者』と思ってはなりません。」と日本社会の構造を説明した上で、具体策を提案したり・・・

 公認会計士試験に5回落ちたという相談には、会計士以前の基礎学力、特に数学の基礎力を身につけることが必要で、それにはおよそこのくらいの時間がかかる、と明解に説明されていたり・・・

 トイレが心配でオムツをしているという心療内科に通っている方からの質問には、「人にはさまざまなこだわり(あるいは癖)があります。そのこだわりが社会の多数派の基準から極端にズレている場合に、問題が生じます。・・・結論から言うと、あなたはもっともよい対策を取っています。まず、心療内科に通って専門医の指導を受けています。それから、・・・オムツをつけて外出しています。自分のこだわりと社会の基準との間で、・・・上手に折り合いをつけています」と答えていたり・・・

 相談者の事情を思いやった上で、現実的にとれる対策を具体的にいくつか挙げる、その人の考え方が突拍子もなければ論理の飛躍を指摘する、・・・と当たり前といえば当たり前のことをされている訳ですが、あらゆる分野の相談にここまできちんと対応できるなんて…!とびっくりしました。