パワースポットはここですね

パワースポットはここですね

 以前ラジオ体操の本が面白かった

ayadora.hatenablog.com

高橋秀実さんの本、こちらも面白かったです。

 

P36

「パワー」について語るには「力」、そして物理学を踏まえておきたい。

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 ・・・日本語の「ちから」とは、もともと「チ(霊)」+「カラ(因)」だったらしい。

 原義は霊の因で、霊力を意味したのであるが、一般に力をいふやうになつた。腕力の意に用ひるのは更に其轉義である。(松岡靜雄著『日本古語大辭典』刀江書院 昭和4年)

 筋肉感覚を「力」とするのは、「チカラ」の転用にすぎないのである。古来、日本語の「チ」には「霊」「主」「血」「乳」「風」「道」などの漢字が当てられ、「神秘力觀念」(松岡靜雄著『新編日本古語辭典』刀江書院 昭和12年)を表していたという。早い話、「チ」とは神秘なのだ。一方、「カラ」のほうには「因」の他にも「殻」「幹」「茎」「柄」(白川静著『新訂 字訓 普及版』平凡社2007年)などの漢字。「ものの根幹をなすもの」「固有の本質をなすもの」(同前)を意味するそうで、合わせて考えると「チカラ」とは神秘の本体なのである。・・・

 例えば「力がある」という場合、物理学ではモノを動かす、モノが動かされるということで実証されるが、日本語の「チカラ」のほうは、神秘ゆえにそこに「何かがある」、あるいは「何かがなされる」という予感を意味する。予感のみで必要十分であり、実際に動いたりすると神秘性が薄れ、むしろ力が失われてしまうのではないだろうか。

 

P50

 ・・・清正井がパワースポットとして注目されたのは2009年のことである。年末のテレビ番組でお笑い芸人の島田秀平さんが「来年は清正井がくる!」と予言した。知り合いの芸人たちが清正井に行ったら仕事が増えた、待ち受け画面にすると運気が上がる、などと紹介したところ本当にブームになり、翌年1月から清正井に大行列ができるようになったらしい。

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「ただ僕がすごく思うのは、そこにパワーがあるかないかは別として、やっぱり行く気持ち、行動力が大事なんじゃないでしょうか」

―行動力ですか。

「例えば、僕が芸能人の誰かに『清正井がいいですよ』と勧めるとするじゃないですか。そうすると皆さん『行ってみたい!』『絶対行きます!』と答える。どうせ行かないだろうな、と思うんですが、売れている人は本当に行くんです。忙しいはずなのに、その翌朝とかに。ところが売れない芸人などは『バタバタしてて行けてないんです』とか言い訳して結局行かない。行けば売れる、というわけではなく、売れている人はすぐ行く。刺激を受けるとすぐに足を運ぶんです」

―運気が上がる、というのも?

 私がたずねると、彼はうなずいた。

「運って『はこぶ』っていうことじゃないですか。これって自分で運ぶことなんじゃないでしょうか」

 運の良し悪しは、運ぶか否か。運ぶ人のことを「運がいい」と言うのである。