看取るあなたへ

看取るあなたへ

看取りの場に関わってきた方々が、考えや思いをそれぞれに綴った本を読みました。
また印象に残ったところを書きとめておきます。

P22
 ・・・精神科医エリザベス・キューブラー・ロス。・・・彼女は、"死の専門家"であると同時に"生の専門家"でもありました。
 そのロスに九歳のアメリカ人の男の子ダギーから手紙が来ました。脳腫瘍で余命厳しい彼からの「いのちって何ですか?死ぬってどういうこと?どうして若い僕が死ぬの?何かの罰なの?」という問いです。
 自分の病気を知った時の、悲しみ、怒り、恐怖、混乱、いろんな感情がその手紙の中に含まれていました。・・・
 ロスはダギーに丁寧にイラストを付けて返事を書きました。・・・その返事の内容が一冊の絵本『ダギーへの手紙』になっています。
 一部をご紹介しましょう。

―人はまるで、種のように、うまれてくる。
―でも、わすれては いけないよ。神さまは、たんぽぽが どこに とばされるかを きめる 風を おこしていること。神さまは、たんぽぽの種を たいせつに おもっているのと おなじように、すべての いきもの とくに、子どもたちを、たいせつに おもってるのです。だから、人生には ぐうぜんというものは ないのです。
―この世で やらなければ いけないことを ぜんぶ できたら 私たちは からだを ぬぎすてることが ゆるされるのです。そのからだは まるで さなぎが ちょうちょを とじこめているように 私たちの たましいを とじこめてるの。そして、ちょうどいい時期がくると 私たちは からだからでて 自由になれるのです。
―それが、私たちの 死ぬときです。

 さらにロスは、"君はおとうさん、おかあさんの先生なんだよ。いのちって何かを教えてあげているのよ"というようなメッセージをダギーに語りかけます。
 ・・・