人が集まってくる

茶色のシマウマ、世界を変える―――日本初の全寮制インターナショナル高校ISAKをつくった 小林りんの物語

人が集まってくる人って、こういう人なんだなと思って読みました。

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 りんの周囲には、実際にたくさんの「その人がいなかったらISAKは開校できなかった」人がいた。たくさんの人間が、知恵を出し合い、言葉には尽くせない協力をした。
「何かをやりたいと思うと、必ず助けてくれる人が現れる」と言ったのは、彼女の本心からの言葉だ。なにしろ本当にそうだったのだから。
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「僕がりんさんのお手伝いをするのが楽しかったのは、彼女の周囲にいる人たちが、失礼な言い方になってしまうかもしれないけど、人としての筋がすごく通っている人たちばかりだったんです。おかげで、世の中にこんないい人がいたんだって心から思えるような人に立て続けに会うことができた。そういう方たちと一緒にいると、自分もいい加減なことはできないじゃないですか。自分もこの人たちに負けないように、いつも背筋を伸ばしてなきゃいけないって思うようになって、責任感が生まれて来て、それが自分にとってはいい勉強になりました」

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「あの人はいつも同じなんですよね。誰と話す時でも、相手がどんなに偉かろうがそうでなかろうが、話し方も態度も変わらない。卑屈になることもなければ、偉ぶることもない。りんさんと話していていつも思うんですけど、とにかくりんさんは"善良"なんです。間違っても、自分や自分の周りの人だけに利益があるように、などというふうにはまったく考えていない。いつも『こうすれば社会をよくできる』と情熱的に語って、人を巻き込んでいく。とくに教育業界は、さまざまなステークホルダーに取り囲まれて、失敗を恐れ、身動きできなくなってしまっているようなところもあるから。多くの人がそういう閉塞感を感じている中で、りんさんの話に心を動かされて、自分にも何かできることがないか、と思ったんじゃないでしょうか」