松井秀喜とは?

ヒデキマツイ

松井秀喜とは?という質問の答え、そんな感じなんだなーと興味深かったです。

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 松井秀喜でいることによって、自分の感情のままに動けないことは多々ありますよ。これはしょうがないことですよね。公共物?これはもうね。認めざるを得ないですよね。だから、なんでもそうなんですけど、自分にとって、受け入れたくないことっていっぱいあるわけじゃないですか。でも、それは受け入れなくちゃいけないんですよ。松井秀喜であることはね。それと、本当の松井秀喜っていうのは自分でもなんなのかよく分かってないんですよ、はっきりいって。何が本当の自分自身なのかって、分かんない。こういうこと言ったら多重人格だと思われるかもしれないけど、自分でもいろんな側面の松井秀喜がいると思ってるんです。・・・でも、それによって、ある意味バランスとってんじゃないかと思ってるんです。高校時代はまだそこまで考えなかった。二十五歳を超えたぐらいからでしょうね。それまでは、まだまだ、人間的にできていない部分がいっぱいありましたよ。今でも、そうなんでしょうけど。
 ・・・
 松井秀喜をやめたくなったことはないですよ。松井秀喜をやっていて、楽しい時はそりゃあ楽しいです。僕しかできないことはいっぱいあるわけだから。ヤンキースのユニフォームを着て、ヤンキースタジアムに立てる人間なんていない。松井秀喜にしかできないことですよ。最高に幸せな一瞬です。でもその反面、窮屈な思いもしなくちゃいけない。それは仕方ないことだし。なんでもそうやって受け入れることです。受け入れることによって、自分自身としてはある程度、なんでも我慢できる。
 今、幸せか?難しいですね。幸せかって聞かれたら、幸せなのかなあ。何を幸せって感じるかでしょうね。思いっきり野球ができて、しかも、世界一の環境で野球ができるってことが、幸せって感じるんだったら、幸せでしょう。それができるんだったら、なんでも受け入れられる、なんでも我慢できるっていう人間であるんだったら、間違いなく幸せでしょうね。そういう意味では幸せかもしれないですね。
―今の夢は。
 なんなんだろうなあ。そうやって言われると、これっていう夢はないんです。もちろん、毎年勝ちたいし、もっともっといい選手になりたいけど、それが夢かって言われたら、そうなのかなあって。分かんないですよね。ほかの人たちに夢を持って頑張ろうとか、言ってるかもしれないけど、自分の夢はなんなんだと言われたら、自分の夢って言われたら難しいですよね。夢っていうよりも、自分の夢が使命みたいになっちゃってますよね。