ヒデキ君に教わったこと

野球で学んだこと ヒデキ君に教わったこと (講談社文庫)

松井秀喜さんに関する本、こちらも図書館で見つけて読みました。
ご自身も本格的に野球をやっていたことのある伊集院静さんが描く松井秀喜さんの姿。
メジャーリーグの歴史に残るいろんな逸話も満載で、野球が大好きな私は、読んでるだけでドキドキワクワク、電車を降りてエスカレーターに乗っても、歩き出しても読み続けてしまう面白さでした。

こちらは野球をやってなくても、スターじゃなくても、とても大事だなと思ったところです。

P41
 メジャーを代表するスラッガーである松井選手が今でも暗記していてさらさらと口にする言葉がある。

 心が変われば行動が変わる
 行動が変われば習慣が変わる
 習慣が変われば人格が変わる
 人格が変われば運命が変わる

 星稜高校監督の山下智茂氏が選手たちに練習の後に朗唱させた言葉である。
 野球の指導は一見、野球の技術、能力を向上させチームが勝利するためにすべてがなされていると思っている人が多い。
 ところが中学生、高校生の選手に教えなくてはいけないことは実は野球をする姿勢、どんなふうに野球にむかって行くことがいいのか、そのために必要な精神(こころのかたちと言ってもいい)なのである。そうしてその精神を鍛え、強いものにさせることが野球の向上に、チームの力につながって行くのである。

P56
 ジョー・ディマジオは・・・首位打者本塁打王打点王をそれぞれ二回、MVPを三回獲得している。
 しかしディマジオの記録でファンの記憶に忘れずに残っているのは一九四一年に彼が立てた五十六試合連続安打記録である。
 このディマジオの言葉で私が好きな言葉がある。
 それは或る年、記者の質問に答えての一言である。
「あなたはチームがぶっ千切りで優勝を果たした後の消化ゲームでさえ、闘志あふれるプレーをしていますが、どうして他の選手のようにワールド・シリーズに備えて休んだりしないのか」
 彼は答えた。
「私が休んだそのゲームに、私を初めて見にきてくれた子供がいるかもしれないからだ」
 松井秀喜選手は去年のヤンキースタジアムでのレッドソックス戦(五月十一日)で骨折するまで千七百六十八試合の連続出場記録を立てていた。
 日本で活躍していた頃、どんな試合にもフル出場する松井選手に記者が質問した。
ジャイアンツのチケットはなかなか手に入りにくいんです。たとえば夏休みなら、北海道や九州からたった一度だけジャイアンツのゲームを見にきてくれている少年がいると思うんです。その子たちにボクはベストをつくしたプレーを見せてやりたいんです」