エゴを手放す

やりたい事をすべてやる方法

このお話もわかりやすかったです(^^)

P170
 先日、電車のなかで立ちながら本を読んでいたときのこと。
 俯いて本を読んでいた僕は、背後からドンッとかなり強い衝撃を受けた。
 体格の良いサラリーマンが僕にぶつかったのだ。そして、サラリーマンは僕に向かって「邪魔だよ、ボケッ!」と言い放った。
 そして去ってゆくサラリーマンの後姿を本を持ったままただ見送った。
 そのとき、僕は一つの最終試験に合格して、また一歩成長できたのだと思った。一瞬たりとも、怒りに駆られることがなかったからだ。
 いきなりぶつかられて暴言を吐かれようものなら頭にくる人の方が多いと思う。しかし、そのサラリーマンの後ろ姿を見ながら僕はこう考えた。
「もしかしたら、あの人はいま、人生のどん底という状況で苛立っているのかも知れない」
 そして、こうも考えた。
「僕が本当に邪魔だったのかもね」
 僕はできるだけ端でひっそりと本を読んでいたつもりだったが、そのサラリーマンには邪魔だったのかもしれない。もしそうなら、避けなかった僕が悪いということになる。
 暴言を吐かれ、そこに僕が同じ怒りで返すと、相手と振動数(チャンネル)が同じになってしまう。すると、また同じようなネガティブなチャンネルを持つ人に出会ってしまうことになる。
・・・
 価値観の変換期でもあるいまの時代は、どんなことに対してもポジティブに返すということが大事なのだ。
・・・
 たとえば極端な例で言うと、お金を持ってトンズラした知り合いがいたとする。
「アイツはとんでもない奴だ」という怒りで満たされてしまうかも知れない。
 でも、少しだけ見方を変えてみる。その人と自分とは縁があったわけだし、もし自分から近寄って知り合いになったとすれば、自分の見る目がなかっただけで、次はもっといい人と付き合おうと反省することもできる。
 捉え方を変える、視点を変えてみるというのは、やはり生きるうえでの王道だと思う。
 どんな局面でも自分次第でその有りようを変化させることができるのだから。
 僕自身、二十代から三十代になるにつれて、いろいろな経験をすることで、「自分自身が正しい」という見方をしなくなってきた。つまりは、少しずつかも知れないが、エゴを手放すことができるようになってきたのだ。
 何度も繰り返すが、エゴを手放せば、ラクになれるのだ。