つづき

ああ面白かったと言って死にたい―佐藤愛子の箴言集 私の遺言 (新潮文庫)

佐藤愛子さん、実は私が死後の世界に興味を持ったのは、この方の「私の遺言」がきっかけでした。
それにしても豪快な人だなぁという印象ですが、ご本人は弱いから強がっている、と書いています。
今日も「ああ面白かったと言って死にたい」という本から、印象に残ったところのご紹介です。

P146
 人生とは、己のうちなる矛盾を生きることだとこの頃身に染みて思うようになった。魅力ある人とは、その矛盾を矛盾のまま、いつまでも内蔵している人だ。しかしたいていの人間は矛盾を生きることの辛さに耐えられなくて、矛盾を削り、整理し、わかり易くスッキリと筋を通して生きようとするのである。エゴイズムと優しさの相剋の中から、人間味が溢れ出て来る。人に理解されるもよし、されぬもよし。そういう人に、私は憧れる。