辺境メシ

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

 「はじめに」に、食事中に読まない方がいい、と著者が書いているように、ひぇ~と言いたくなる食べ物?も出てきますが、世界は広いな・・・と固定観念が壊れる楽しさは味わえました。

 ここには、ひぇ~ではなく、へーっと思ったところだけ(;^_^A書きとめておきます。

 

P29

 エチオピアは三千年近い歴史を誇り、現存する世界最古の国家のひとつとして知られる。独自の伝統文化を誇り、他のアフリカ諸国とは全く雰囲気が異なる。ゆえに私は「アフリカの京都」と呼んでいる。

 ・・・

 エチオピアには茶道ならぬ「珈琲道」なんてものもある。人類がコーヒーを飲む歴史はここから始まったとされているし、コーヒーノキの原産地の一つでもある。・・・

 飲み方に対するこだわりも世界一だ。「女性はコーヒーを上手に入れられないと嫁に行けない」とされており、一九八〇年代の大飢饉のときには、着の身着のままで、でも自前のコーヒーセットだけを携えた女性たちが続々と難民キャンプに集まってきたという。コーヒーは一般家庭では食後の楽しみであり、もちろん客人が来れば、これでもてなす。

 初めてこの国を訪れたとき、私は街道沿いの茶屋で珈琲道を体験した。普通にコーヒーを頼んだら、店の若い女性はなんと生のコーヒーの実を七輪で煎るところから始めた。この時点で、日本のどんな「こだわりの珈琲店」も負けである。たっぷり三十分もかけて入れてくれたコーヒーは当然、香りも深みも普通のコーヒーとは段違い。何より「新鮮なコーヒー」というのを私は初めて飲んだ。しかも「お勘定はいらない」と笑顔で言われ、最高の気分で店を出たところ、……同行した通訳とドライバーになじられた。

「茶屋ではコーヒーでお金をとらないんだよ。どうして他のドリンクを何も頼まなかったんだ?失礼だろ!」というのだ。「そんなの知らなかったよ」と答えると「雰囲気で察しろよ‼」。

 物言いのストレートな他のアフリカ諸国とちがい、アフリカの京都は何かにつけて空気を読まねばならず、大変に面倒くさいことも初めて知ったのだった。