皿の中に、イタリア

皿の中に、イタリア (講談社文庫)

今朝はうっかりブログの更新を忘れました(;^_^A
決めてるわけではないのですが、なんとなく朝の習慣になってるので、忘れると変な感じです(笑)


ジーノの家」がとても味わい深くて印象に残っていた内田洋子さん。
こんなにたくさん本が出てたんだ、と最近気づいて、何冊か読んでいます。
「皿の中に、イタリア」も、何人ものいろんな人生が描かれていて、すばらしかったです。
こちらは本の最後に載っていた解説文ですが、どんな本かわかりやすいのでご紹介です。

P362
 内田さんの本には不思議な経歴の中で出会った人々との交友録が記されている。その多くはアーティストやトラックドライバーや農漁村で働く人など、〝自由人〝だ。内田さんが、そういう〝振れ幅〝の大きい人々との出会いを通じて彼らの生き方―たとえば、普段どんな食事をしているのかということから垣間見える、一人ひとりの〝流儀〝のようなもの―を貪欲に吸収していく様子がうかがえる。・・・
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 どの章から読んでも、唐突とも思える書き出しの一文に興味をひかれる。そしてその後は、愛すべきヒト、モノ、コトが行の中に立ち上がる。自分で組み立てた仕事で、筆一本で生きているだけあって、縁のあった人たちの本当の姿を浮き彫りにする技は読む人をひきつける。虚飾はなく写実的ともいえる文章であるのに、通して読んでみると大きい輪郭の中にものごとの本質が見え、熱く語りかけてくるのだ。ひと皿の料理、一杯のグラスについての表現に触れると、それをはぐくんできた潮風や浜の匂い、ギラギラと照りつける太陽の光までこちらに迫ってくる。そして、カラブリアの魚商人三兄弟をはじめ、登場する人たちの何と魅力的なことか。イタリアとイタリア人への興味と共に、著者への興味も次々と湧いてくる。・・・
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 本書を貫くのは「食」だが、その中心にあるのは凝ったイタリア料理ではない。内田さんが見つめているものは、たとえば昨日作ったマカロニを温め直したものの美味しさのような、普通の食事であり、そこに垣間見える人間臭いイタリア人の生き方だ。・・・
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 良い素材を見つけ、何気ない調理でその良さを引き出すイタリア料理の特長は、内田さんがお書きになる文章の魅力にも通じる。金曜日だけに立つ市場に朝一番に出かけ、魚屋の三兄弟から本当に美味しい魚を買い求めて、友人を招いてその料理でもてなす、といった生活は、何十年もその地に暮らす人にしか出来ないだろう。自称芸術家のドイツ人トーマス一家とのサルディーニャへの旅は人間味にあふれ、実に興味深いが、本来そうした体験を通してでないと得られない他民族の人間性や、豊かなライフスタイルを教えてくれる内田さんの文章を、日本に居ながらにして読める私たちは幸せだ。・・・