佐野洋子対談集

佐野洋子対談集 人生のきほん

こちらは物質界どっぷり?という雰囲気の(笑)佐野洋子さんと、西原理恵子さん、リリー・フランキーさんとの対談本です。
タイトルに人生のきほん、とあったのが、読み終わってなるほどなーと。
きほんというか、「底」「ベース」というか…とにかくやりとりが濃かったです。
ちょっと前に読み終わり、面白かったものの、どこかを書き抜いておくのが難しいなと思いつつ…
こんな感じなんですけど、雰囲気わかるでしょうか…?

P97
西原 そういう男がいたらいいなって、やっぱり思ってるんです。誰かに頼りたいし、ひとりになるのはいやだし。でもいい加減、そういう考えをやめなきゃ。

佐野 どうしてやめなきゃと思うの?

西原 つまり、いないと寂しいと思ったり、メソメソしたり、マイナス要因がどんどん自分の中に入ってきちゃいますから。けっこうウジウジ考えてる。そのうちどんどん人の悪口になってきて、負のスパイラルに入っていく。気がついたら原稿用紙の前で、カチカチに怒ってることがあるんですよ。

佐野 それって、フツーじゃなーい?

西原 えー、そうですか?

佐野 私なんてね、自分の核は何かといったら怒りしかないね。執念深くいつまでも覚えてて、怒ってるの。そういうのを「性質悪い」って世間では言うわね(笑)。でも私、ほんとに自分を支えてるのは"怒り"だと思う。

・・・

佐野 男についての後悔は?

西原 ないですね。男に失敗したのは、お布施したお金といっしょで、その後悔はないんです。それは自分の引いちゃったハズレ馬券なんで、それに対する後悔はあんまりないですね。
 それより母親に対してとかの怒りとか近所のいさかいのほうが、いまだにライブに頭にきて。・・・
 鴨ちゃんはあんなにがんばって闘病して、「もっと生きたかったろうに」と、そういうふうに考えてあげればいいのに、そっちより、近所の気に食わないばあさんの一言のほうがぜんぜん彼より存在が重くて、そっちは生き死にで、こっちはささいな一言なのに、どうして私ったら……と思うね(笑)。そういうときに彼の写真を見て、「悪いね」と言うの。あんたより、こっちのほうが関心高いよ、こっちのほうがって。

佐野 それ、普通だよー。

西原 ありがとうございます!

佐野 たとえばさ、近くで戦争があったとしても、そこで殺し合いがあったとしても、自分ちで姑に魚を取られたほうがずっと重要な問題。

西原 めちゃめちゃ腹立ちます。

佐野 だから、それが普通よ、あなた。