人生の歩き方

塩沼亮潤さんの「人生の歩き方」を読みました。
人生の歩き方

どのページを開いても、なんとも真っ当で、清々しい風が吹いてくるような読み心地でした。
また何カ所か、書きとめておきたいと思います。

P18
 大きな夢や目標に立ち向かっていくときこそ、心が豊かであり、潤っていなければなりません。その心のゆとりがあってはじめて、ものごとが成就いたします。
 せっかく皆さんのためにと努力しても、自分だけがつらく苦しいことに耐えているのだという、いかにもつらそうでゆとりのない姿を見ても誰も元気にはなりませんし、人は寄ってきません。どんなに困難をかかえているときでも、常に明るく、軽やかに、そして、のびのびした心でいることです。それが、自分と皆さんの心の幸せにつながることであると思います。

P40
 最近、後輩たちが私の人生を「いいですね」といってくれます。「そうかな」と笑いますが、日常生活は十九歳のときの小僧の生活とあまり変わっていません。私は心の中で思いました。十年前の私の姿を「いいな」と思った後輩はおそらくいなかっただろうな、と。
 人生良いことも悪いことも半分半分、結果を求めず、結果は努力のあとについてくるものです。欲心をもたずに、今、なすべきことをなし、どんな困難なことでもさせていただくという謙虚な気持ちで努力することが肝心です。

P114
 これは本当に正直な話ですが、千日回峰行と四無行を終えたばかりの頃は、もし生まれ変わってまたこの行を行じなさいと仏さまからいわれたらどうしよう、と思っておりました。仏さまが「やれ」とおっしゃり、これが自分の定めだったらやるしかないなぁ……という気持ちでいました。
 それはなぜかといいますと、正直、この行はとにかく厳しく、年数がたつごとに体力が落ち、極限のなかで行じなければならないというきわめて困難なものでありました。
 人間は鍛えたところが強くなるといいますが、度がすぎると肉も削ぎ落ち、骨まで細くなります。そんな状態ですので、もう一度生まれ変わってまた同じことをやれといわれると、やりたくないわけではありませんが、正直かなり厳しいなとその頃は思っておりました。
 しかし、年月がすぎると、また、自分の定めに対しての生きがいを感じるようになり、いつでも、どこでも、何度でも、自分が今できることを精一杯させていただこうという気持ちに変わってまいりました。
・・・
・・・人間には、そのとき、その時期にしなければできないことがあります。ですから、後悔しないように今できることを精一杯させていただくことが大切なのです。これが人生の本質みたいなものではないでしょうか。