キツツキが頭痛にならない理由

ヘンな科学 “イグノーベル賞” 研究40講

 考えたこともなかったです(;^_^A

 すごいなぁ。。。

 

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 北アメリカのキツツキは、1秒間に20回という驚異的なスピードで木をつつく。そして1日につつく回数は12000回にものぼるという。この時キツツキにかかる力は一度につき1200グラム。これは、時速25キロメートル相当のスピードで壁に顔面衝突するのと同等程度の衝撃だ。人間では150グラムの力がかかった時点で気絶してしまう。

 キツツキがこんなドMな日常を送っても大丈夫な理由を明らかにしたのは、カリフォルニア大学デイビス校のアイヴァン・シュワブ教授と、同大学ロサンゼルス校のフィリップ・メイ医師・・・2人には2006年鳥類学賞が贈られた。

 シュワブ教授がキツツキに興味を持ったのは、・・・どうして目が損傷を受けないかと疑問に思ったからだ。

 眼科専門医のシュワブ教授は、虫や鳥、爬虫類など、人間以外の動物がどのようにモノを見ているかを比較することに興味を持っていた。

 人間の場合は激しく頭を打つと、目の後ろにある血管の破裂、神経の損傷などが生じることがある。しかしキツツキでは脳障害や脊椎損傷だけでなく、網膜剥離も起こらない。

 交通事故に遭った患者を診てきたシュワブ教授は、キツツキがどのように身を守っているかを探ることにした。その中で特に参考になったのが、メイ医師が1970年代に行った研究だったのだ。

 シュワブ教授によると、キツツキは進化の過程で、衝撃から身を守るメカニズムを何パターンか身に付けたのだった。主なものは次のとおり。

 

・頭蓋骨が厚いスポンジ状になっており、ヘルメットのように脳を守っている。

・キツツキの脳みそは人間と違い、頭蓋骨の中にびっしりと詰まっている。人間の脳みそはたっぷりの髄液の中に浮いているが、キツツキには髄液がほぼ皆無なのだ。このおかげで衝撃を受けても脳みそがチャプチャプ動きまわらず、前方からの衝撃に強くなっている。

・下顎周辺のつくりが、衝撃吸収クッションのようになっている。下顎は強力な筋肉で頭蓋骨とつながっており、キツツキが木をつつく1000分の1秒前に収縮しクッションの役割を果たす。このクッションのおかげで、衝撃が頭蓋骨の底や後部に分散されるので、脳には影響が出ない。

・キツツキは人間と同じように、外側にまぶたが2枚あるが、もう1枚内側にまぶたがある。これがやたらと厚い。この内側のまぶたは、木をつついた瞬間に飛び散る木片から目を守るのと同時に、シートベルトのように目玉を固定している。このまぶたがないと、目玉が頭から飛び出したり、加速によって網膜が破れたりしてしまう。眼球自体の外側も硬く、網膜が動き回るのを防いでいる。

 ……なんとタフなのだろう。