さち

横尾忠則対談集 芸術ウソつかない (ちくま文庫)

ここは読んで、この世界のはじまりを連想して、なんかすごいなと思いました。

P97
中沢 あっ、そうそう、「幸福」ってもともと漢の言葉で日本語じゃないわけで……。日本語では「さち」っていう言葉が最も古く、縄文時代にはもうあったらしいんですが、「さ」というのは「栄」という意味で、「ち」は霊力を表している。つまり「さち」は「増殖していく力」ということ。植物で例えると一番先端の部分で新芽がどんどん成長しているようなイメージ。だから人間は何をもって幸福としていたかというと「増える」ということになるんですが、僕が思うに究極の増殖は人間の脳の中で起こっていて、ここで「無」から「有」が発生している。「無」から「有」が発生することが最大幸福ということなんですが、・・・