これを読んで、氣が通ってないと心が通じない、そうかなるほど…と今更ながら腑に落ちました(^_^;)
P60
「自分はこんなにも相手のことを思っているのに、相手にまったく伝わらない」
こんな経験をお持ちの方は、けっして少なくないでしょう。・・・
「思いが伝わらない」とは、すなわち「心の状態が伝わらない」ということです。これは氣が滞っているために、自分のなかだけで心の状態が完結してしまっていることから生じる現象です。氣が通っていないと、心の状態は相手にまったく伝わりません。
心身統一合氣道の稽古では、自分を攻撃してくる相手に対して技をおこないます。
このとき、相手の身体の動きにフォーカスしていると、反応が遅れてしまい、技は上手くできません。相手の身体が動く前に反応しなければいけないのです。そんなことが可能なのかと思われるかもしれませんが、身体が動く前には、必ず心が動いていますから、心の動きにフォーカスすればそれができます。心の動きは、氣の働きによって伝わります。身近な言葉で言えば、「氣配」を感じるということになるでしょう。
これは「空氣」と「音」の関係によく似ています。
音が伝わるのは、そこに空氣があるからです。空氣がなければ音は伝わりませんから、どんなに大声を出しても、耳をすましても意味はありません。同じように、心の状態を伝えるには、氣が通っている必要があるのです。
・・・
ある経営者の方から、ご相談を受けたことがあります。
「自分はこれだけ社員のことを思っているのに、それが社員に伝わらない」
そうおっしゃっていました。この方は「強い思いを持っていさえすれば、必ず相手に伝わる」と信じて疑わないご様子でした。しかし、実際には、その前に「氣が通う」という土台が必要です。その土台がなければ一方的な思いで終わり、空回りとなります。氣が通うという土台のない強い思いは、いわば、空氣のない宇宙空間で一生懸命大声で呼んでいるようなものなのです。
このご相談のケースでは「どうやったら思いが伝わるか」ではなく「どうしたら氣が通うか」を考えることが解決の第一歩となります。
・・・
心身統一合氣道に限らず、多くの武道が「挨拶」をとても大事にしています。・・・これは挨拶が形だけのものではなく、氣が通ううえでの基本だからです。・・・
・・・氣が通うには、まず氣を出すことが重要です。それは氣を出すことによって、新たな氣が入ってくるからでした。みなさんは、もうおわかりでしょう。挨拶は「氣を出す」ことそのものなのです。