田部井淳子さん

高いところが好き (小学館文庫)

先月あちらに旅立たれた、エベレストの頂上に女性で初めて登った田部井淳子さんのエッセイを読みました。
素敵な方だなぁと思いました。

P11
「ああ、私も一度でいいからヒマラヤというところへ行ってみたい。エベレストだったら、見るだけでもいいから行きたい。」
と、ほとんどの人が答える。ところが、その後に必ずといってもいいほど「でも」という二文字がついてくる。
「でもー私、エベレストに行くには①体力がないワ、②技術がないワ、③お金も、④暇もないワ。」と、四つの条件が出てくるのだ。
 あまりにも多くの人から同じような答えを聞いて思ったのだが―どうして自分が行きたい、やりたいという気持ちを持っているにもかかわらず「私にはこれがないワ、あれがないワ」、と行かれない条件ばかり出してくるのかなあーということだった。
 これは"ほんとうに行くんだ"という意志がないからだ、と思った。
 アンナプルナの時の経験で、ヒマラヤ登山をすることは決してすぐれた体力、技術があれば登れるものではない、ということがよくわかったのだ。
 一番必要なもの、それはほんとうに行くんだ、やるんだという"意志"なのである。

最後の解説のところに「どんな山も一歩一歩、足を前に運びさえすれば必ず頂上につける」という言葉が紹介されてました。
なんかしみじみ響きました(^^)