一日置いてつづきです

いつやるか? 今でしょ! (宝島SUGOI文庫)

一日置いて、つづきです。共感して読んだところを・・・

P215
先の項で、悪い流れのなかで焦らず、腐らず、諦めずに耐えていれば、必ずいい流れが来ると書きました。そのこと自体は間違っていないのですが、そもそも流れの来ないような場所、すなわち勝ちにくい場所で勝負をしていたとしたらどうでしょうか?
「大した努力をしなくても勝てる場所で、努力しなさい」
 僕が授業でよく使う言葉です。・・・
・・・
 僕は東進には、英語の学習アドバイザーのようなかたちで、バイトとして入りました。英語という科目は「普通」にできるというレベルで、一番好きなのは数学でした。そのことを上の人にアピールし、テストも受けて、その翌年から数学の講師としての正式採用が決まったのです。ところが、その瞬間に、はたと考え込んでしまったのです。
「数学で勝負していくのが本当にベストだろうか?」
と。自分の受験生時代を振り返れば、一番好きで得意な科目は数学でした。しかし、それを仕事として教えていくこととは次元が違います。
・・・
 そっと周りを見回してみました。ほかにも科目はあるのです。英語、日本史、化学、古文、現代文……。現代文!?これも好きではないにせよ得意な科目ではありましたし、実際、他の予備校では教えてもいました。・・・
・・・
 結論は簡単に出ました。相手が軽い!これなら楽に勝てる、と。まだ戦ってもいないのにずいぶん傲慢な結論でしたが、数学の講師としての未来の戦いを想像したときのような苦難はまったく思い浮かばなかったのです。・・・
・・・
 こんなふうに、僕は「勝ち易きに勝つ」道を選んだのです、だからこそ、そのあとの「悪い流れ」のときでもじっと耐えられたと言えます。
・・・
 今、仕事がうまくいかないなぁという感覚を抱いてる人がいれば、本当に自分が「勝ち易き」場所にいるかどうかを考え直すことも、必要なことです。
・・・
・・・50年近く生きてきて思うのは、本当に得意な分野はそんなに多くはないということです。
・・・
 そのためにはいろいろなことにチャレンジするべきです。特に若いうちは仕事も、遊びも山ほどレースに参加してみて、とにかく走ってみることです。勝つこともあれば、負けることもあるでしょう。・・・
 それでいいんです。そうすることで、自分の適性や脚質がわかってきます。・・・
・・・
 自分の負けパターンを知っている人間は強いものです。こういうときはマズい、修正を図ろう、あるいは撤退だ、と迅速かつ冷静に判断できますから。
・・・
・・・自分はそういう愚かなことをやりかねない人間だという自覚は、人を謙虚にします。・・・そして同時に、今同じようなバカなことをする若者に対して寛大にもなれるんですよ。
・・・そもそも、20代の若いうちに無駄遣いなんてあるんでしょうか?一見無駄遣いに見えても、それは負け方を知り、自分の内側に「財産」を蓄えるための貴重な投資なのです。

 私自身、20代の頃は相当ボロボロだったので(苦笑)最近まで、ふと思い出すと、あ〜(+o+)と頭を抱えたくなるような気持ちでしたが、ようやく、そうだ、あの経験があるからこそ心広くいられる(笑)と思うにいたりました。
 そしてここに書いてあったように、数多くうまくいかない経験をしたからこそ、ここじゃないな、という見極めもできるようになりました。
 体験談が豊富で、読者に伝わるようにという思いが伝わってくる、読み心地のいい本でした(^^)