小雨日記

小雨日記

小泉今日子さんのエッセイ、続けて読みました。
これは一緒に住んでいた猫の小雨ちゃんが語る形。
小雨ちゃんのかわいい写真もたくさん載ってました。

P65
 いつの間にか秋空に変わっている空を眺めながら、小雨は思います。決して上手くはないキョーコさんの唄を聴いて楽しんでくれた人がいたとしたら、それはとても有り難いことだと。キョーコさんはそういう人がいてくれる限り、頑張って生きてゆくのだと思います。この人、本当に自主性がないのです。自分がしたいことなんてほとんどないの。だから、誰かのために頑張る!ということにしか力を発揮できないタイプなの。
 小雨はキョーコさんのために、キョーコさんは小雨のために存在するのだ。それが愛というものなのかもしれません。

P84
 キョーコさんの泣き顔って、きっと小雨ぐらいしか見たことがないと思う。普段は強がりだもんね、あの人。大好きなクォン・サンウのドラマを見てゴウキュウ。悲しい小説やマンガを読んでゴウキュウ。これは放っといてもいいパターンのゴウキュウ。
 7年近く一緒に暮らして、ほんの数回本気でゴウキュウするキョーコさんを見たことがあります。女ですもの、そりゃ悲しい時もありますわよ。そんな時は膝の上にポンと乗り、クンクンとしつこく涙の匂いをかぎます。あまりの小雨のしつこさに根負けしたキョーコさんの次のセリフは決まってる。「あなか空いたね!」うん!激しく同感。どんなに悲しくてもおなかが空くっていうのは幸せなことですね。生きるってそういうことですね。