指導・育成法

信じて根を張れ! 楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる (単行本) 新・野球を学問する (新潮文庫)

NHK帝京大ラグビー部のことが取り上げられていて興味を持って、監督の著書を読みました。
根性論ではない、これからの育成法が書かれていて、素晴らしかったです。
以前読んだ、桑田真澄さんの「野球を学問する」にも、同じような思想が書かれていたなと思い出しました。

P33
 初めて大学日本一になり、メディアでは「大学ラグビー新時代」「新興校の逆襲」などと報じられました。・・・
 とてつもないスター選手がいたり、高校日本代表がずらりと名前を連ねているわけではありません。なので、記者の皆さんは、躍進の理由を測りかねているようでした。よく「かなりの練習量を積んできたのでしょうね」と言われますが、練習時間そのものは他校より少ないくらいです。・・・
 しかも、連覇を懸けた2010年は、5月のGW連休5日間をすべて休みにしました。理由は三つあります。
 ひとつは、トレーニングの最適な強度を考えてのこと。
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 3月から初めておよそひと月半、前のシーズンで積み上げてきた財産と疲れ具合を観察します。就任したてのころは、時間が欠けた分を5月の連休で取り戻すべく合宿をしたり、遠征をしましたが、短期間でやったものは決して身につかないということがわかってきました。
 チーム作りは、ラグビーの試合展開に似ています。ハードな練習をしっかりとやりきることが「攻め」なら、休養や体をケアする作業は「守り」です。この攻守のバランスがいかに大事かということを、私は私の貴重な片腕であるスタッフから教えられました。・・・
 ・・・連休に疲れの残るようなトレーニングをしてしまうと、3,4月までの疲れと合わせて疲労がたまりやすくなります。特に1年生は緊張がピークになってきます。五月病の時期ですし、頑張りのコップが満杯になってくるころ。ここは中途半端に1日、2日ではなく、一気に全休にしたほうがいいと判断しました。5日もあれば、遠方の子も実家に帰って十分英気を養えますから。・・・
 要するに休むことで「超回復」という効果を狙うのです。・・・
 二つ目は、セルフ・イニシアチブ(主体的な思考力)を引き出す仕掛けです。部員は休みの後「すごくいいリフレッシュになった」と口々に話していました。聞いてみると、5日間すべて遊びまわっていた子はいない。・・・
 ・・・自分はアスリートとしてしっかり準備しているという自信とプライドが学生たちの成長につながります。長い休みは、そういった主体性や計画性を引き出す目的もありました。
 もうひとつは、スタッフから大人として信頼されている、という意識を持ってほしかった。・・・