警察もテキトー

世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論

 テキトーというか、ゆる過ぎます(笑)そして、泥棒の話も可笑し過ぎ。

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 フィジーのパトカーにはガソリン代の制限があるそうで、パトカー1台につき1日20F$(1200円)の上限に達すると出動はできません。その女性警官は、パトカー出動ができない時に事件が起きると自腹でタクシー出動をしているそうです。なぜそういうルールがあるのでしょうか?・・・
「パトカーを私用で使う警官がおるからね。勤務中にパトカーで昼飯食べに家に帰ったり、彼女乗っけてドライブしたり。そういうんを防止するために、上限が設定されてんねん」。
 ……圧巻です。この話を同僚の女性教師にしてみると、珍しくぼやきが聞こえてきました。
「困ったもんよね。1年くらい前、隣の家の門を泥棒1人が乗り越えようとしてるとこを目撃したんよ。すぐに警察に電話したけど『パトカーを今、出動させられへんねん。迎えにきてくれたら行けるで』って返事やったわ……」。
 市民からの新聞への投稿記事でも似たような苦情を見かけます。「パトカーがダメなら、馬で出動したらええやん」という投稿も載っていました。実際、場所によっては馬で出動しているところもあるようです。
 しかし、警察はテキトーな感じなのですが、意外と検挙率は高いようです。その理由のひとつは、犯人もテキトーだからです。犯行の多くが緻密に計画されたものではなく衝動的なもので、犯人が証拠を現場に残していくのです。
 たとえば、日曜日の教会帰りに魔が差してしまい盗みを働いてしまう。しかし、現場に聖書を置いてきてしまうのです。なんと自分の名前入りの。

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 フィジー人の人生は「行き当たりばったり」です。
 ・・・
 フィジー人からよく言われる言葉があります。
「先のことは心配すんな」。
 たとえば職場だと、こんな時に言われます。2カ月後の繁忙期に備えて、採用活動を教頭と話し合おうとする時。事前に入念な準備をしたい日本人(私)と、なるようになると考えるフィジー人(教頭)。国民性のギャップが大きいので「先のことは心配すんな」と言われてしまいます。
 その典型的な例は、泥棒の行動に顕著に表れます。フィジーの警官に「泥棒の見つけ方」を聞きました。
「泥棒は盗んだお金で犯行当日に仲間と打ち上げをやってる。やから、宴会をやっている場所を重点的に探したら、犯人を見つけやすいねん」。
 なるほど。捕まるリスクが上がっても、フィジー人の「今、何をするか」の優先事項は「今、何をしたいのか」で決まるということです。