テキトーすぎる話

世界でいちばん幸せな国フィジーの世界でいちばん非常識な幸福論

 「フィジーの常識は、世界の非常識」すごいテキトーです(^_^;)

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 フィジー人はテキトーなので、マニュアルを守りません。
 私が会員になっているスポーツクラブでのことです。受付で中国人男性が入会の申し込みをしていました。彼の顔は何度か見かけたことがありましたが話したことがなかったので、この機会に挨拶しておこうと声をかけてみました。
「こんにちは。空港で働いてますよね?お見かけしたことがあります。入会するんですか?」「あぁ、こんにちは。そうなんです。最近、運動不足で」。
 話していると、ちょいワルな受付のおばさんが会話に入ってきました。
「あんたら、知り合いなん?」「いや。知り合いというか、僕も彼(中国人)も空港で働いているんです。話したことはなかったんですが、見かけたことはありました」。・・・
「ちょうどよかった。じゃあ、ここにサインしてや」「……え?これ、何ですか?」「彼、会員になるために申込書を書いてるんやん。で、身元保証人のサインが必要やねん。だから、あんたがサインしてくれたらええねん」「身元保証人?僕、彼のことは何も知りませんよ。空港で見かけたことがあるだけですから」「でも、あんたは彼を見たことあるんやし、彼もあんたを見たことあるんやで。身元保証人として十分やろ」。
「なんでやねん!」と、私は心の中で激しく突っ込みました。しかし、フィジーの常識は、世界の非常識。・・・私は悟りました。このサインをする流れを止めることはできないと……。
 彼が不祥事を起こした時、身元保証人にはどんな責任があるのだろう?そんな不安を感じながらも「これがフィジー流なんだ」と自分を納得させつつサインしました。
 その2週間後。・・・受付のお姉さんが微笑みながら近づいてきて言いました。
「あんな〜、昨日、中国人の団体さんが10人新規で会員に申し込んでん。だから、あんた、身元保証人になってくれへん?」。
 今回はさすがにお断りしました。人数が10人であることもさることながら、その団体の素性もまったくわからないのですから……。・・・フィジー人の臨機応変度は計りしれません。
 その1カ月後、今回は私に有利な展開でしたが、携帯ショップでも似たようなケースがありました。・・・
「この携帯をください。・・・あっ、もしかして身分証明書って必要ですか?」「必要やで」「しまった。忘れてしまいました……」「ほんなら登録できひんやん」「ですよね……また明日にでも来ますね」。
 しぶしぶ私が立ち去ろうとした瞬間、ぶっきらぼうな店員が「ちょっと待ち」と、おもむろに登録用紙に何かを書きはじめました。
「何やってるんですか?」「ん?私の名前で登録してあげるわ」「え?そんなことができるんですか?」「私は身分証明書を持ってるからな」「いやいや、そうじゃなくって。お客さんの分をスタッフ名義で登録していいんですか?」「アカンに決まってるやん。でも、ええねん」「……。よ、よくわかりませんが、とりあえず助かります」。
 ・・・これをテキトーすぎると表現するのかフレキシブルと表現するのか。・・・日本では絶対にあり得ない対応です。