キューバでアミーゴ

キューバでアミーゴ! (幻冬舎文庫) サハラ砂漠の王子さま (幻冬舎文庫) ジプシーにようこそ! 旅バカOL、会社卒業を決めた旅 (幻冬舎文庫)

たかのてるこさんの、人と通じ合いたい!というエナジーが、後を引くおいしさというか、読み終わるとまた読みたくなって「サハラ砂漠の王子さま」「ジプシーにようこそ」と続けて読んでます。
こちらは「キューバでアミーゴ!」より。

P92
キューバ人は、ホントに明るいねぇ」
キューバ人はみんなそうさ。他の国の人たちみたいに、お金のことを考えてないからね。この国はみ〜んなお金がない。工事で働いてる人も、お医者さんも、先生も、殆ど同じ給料だからね。みんなお金がないし、お金のことを考えても仕方ないから、楽しいことを考えるんだ。明るさと笑顔は、キューバの伝統さ」
 国民全員がほぼ同じ給料というのは、私からすればスゴい話だ。でも考えてみれば、・・・この世にある仕事は全て人の役に立つモノで、必要だから存在しているワケで、その給料に差があること自体、おかしな話なのかもしれないなぁと思う。
 何よりも素晴らしいと思ったのは、キューバには経済的に貧しい国によくある、学校に行けない子どもが物売りをしていることもなければ、仕事にあぶれた大人がホームレスになっている姿も見かけないことだった。
 キューバGDP国内総生産)みたいな基準だと数値のかなり低い国だし、とかく貧しさはGDPで判断されがちだけど、たとえば「今日を思いきり楽しむ力」や「人生を楽しむ能力」を指標にして幸福を測る新しい基準を作れば、キューバは世界トップランクに入るに違いなかった。
 ミルトンは自分に言い聞かせるように言う。
「僕は、遠い未来を考えないんだ。近い未来のことしか考えない」
「近い未来って、どのくらいまでのこと?」
「2,3日先までさ」
 みじかっ!未来が2,3日先までだなんて、子どものような感覚ではないか。
 私が感心していると、ミルトンが言う。
「過去は過ぎ去ったことだし、未来はまだ存在しない。存在するのは、ただ、今だけだからね。先のことを考えすぎないことが、笑顔の源だよ」