じっくり考えるよりも・・・

脳はこんなに悩ましい (新潮文庫)

「じっくりと考えると、人はこじつけを始める」というところ、ほんとにそうだなと興味深かったです。

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池谷 厳密な記憶情報にこだわらないで、思いきって些細な部分を無視する能力も重要なのです。たとえばこんな実験があります。サッカーが大好きな人に「ワールドカップの勝敗を予想してください」という課題を与えたときに、みんなで慎重に議論しても、意外と予想が当たらない。反対に、「目を閉じてボーッとしてください」とお願いして、目を開けた瞬間に予測してもらっても、やはり当たらない。つまり、じっくり考えてもダメ、考えなしに決めてもダメ。では、どうすれば一番予想が当たったかというと、注意力を要求するゲームを別途でやってもらったときです。

中村 ゲームで気をそらすと、なんでサッカーの勝敗を正確に予想できるの?

池谷 たくさんの情報を吟味して、じっくり考えると、人はこじつけを始めるようなのです。作話して、間違った結論に落ち着いてしまう。考える時間がまったくないのもいけませんが、考える時間がありすぎるのもよくない。ほかのタスクをやりながら適度に気をそらしたうえで、「勘」にしたがって判断したほうが成績は良いのです。